インタビュー「重大な他害行為を行った精神障害者の治療」第3回 国立精神・神経医療研究センター病院・第2精神診療部長:平林直次医師

重大な事件を犯した精神障害者~平均2年7カ月で退院に被害者・家族は納得できる?

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退院までの治療期間は平均2年7カ月(depositphotos.com)

 今年(2017年)2月21日、神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」における殺傷事件の植松聖(うえまつ さとし)容疑者の精神鑑定結果が、「完全な責任能力を問える」ものであることが報道された。

 たびたび取り沙汰される殺傷事件での責任能力――。重大な事件を犯しても「責任能力を問えない」と判断された精神障害者は、その後の治療で抱えていた問題は解決するのか? 「医療観察法病棟」を担当する国立精神・神経医療研究センター第2精神診療部長の平林直次医師に訊く。

被害者やその家族は納得できるのか?

――医療観察法病棟を退院するまでの期間はどのくらいでしょうか?

 ガイドラインには1年半と示されていますが、実際は平均2年7カ月です。

――人を殺傷してもそのくらいの期間で社会に出てくるのは短い、本来の刑期ならばもっと長くなるはず――と思うのが心情ではないでしょうか?

 「刑」と「治療」は別物であると理解すべきです。つまり、医療観察法病棟は「懲罰」ではなく「医療」を与えるもの。治療を終えれば退院という考え方なのです。

――しかし、それでは殺傷された被害者やその家族は納得できないと思います。

 確かにその通りでしょう。裁判員も「どんな理由があれ人を殺すということは許されない」と考える方が多数です。

 ただし、他害行為の原因が、病気による幻覚と妄想にあった場合、刑務所で刑を与えるより、きちんと統合失調症の治療を行ったほうが有効です。将来、社会復帰をしたときに再び他害行為を犯させないようにする、という考え方が軸にあります。

 本人の責任能力を見極めて、原因が人格の場合には刑罰を、病気の場合には医療を与えるというのが、現在の考え方です。とはいえ、被害者の方がやりきれない思いになるのは当然だと理解できます。

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