なぜセクハラは減らない? 民事訴訟の損害賠償は3000万円超!セクハラ裁判で勝つ方法

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セクハラ民事訴訟の損害賠償は3000万円台にまで!

 さらに、セクハラは、民事上の損害賠償責任を問われる場合がある。事例によっては、雇用者である会社に対して損害賠償を請求できるケースもある。労働契約法5条は「雇用者である会社は従業員の生命・身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をしなければならない」と定めているからだ。

 セクハラの損害賠償額は、労政事務所、雇用均等室などの調査によれば、676万円(日銀京都支店長事件:京都地裁判決=平成13年3月22日)を皮切りに、900万円(東北大助教授事件:仙台高裁判決=平成12年7月7日)から、1100万円(大阪府知事事件:横山ノック大阪地裁判決=平成11年12月13日)、 3000万円台(岡山人材派遣会社事件:岡山地裁判決=平14年5月15日)まで上がっている。

裁判で勝つためにはどんな証拠を用意すべきか?

 刑事(性的関係を求める強要、強制わいせつ、強姦)も民事(損害賠償請求)も、訴訟を起こす時は状況証拠(現場を押さえた写真、会話の録音、メール、日記、メモ、第三者の供述など)が必要になる。

 したがって、不快の意思表示を口頭で伝えるだけでなく、メールで伝えたり、第三者が立ち会って伝えるなど、後々の状況証拠として使えるように注意したい。セクハラが原因でうつ病などの精神疾患を発症した場合は、医師による診断書も欠かせない。

 とくにメールでセクハラされた場合は、セクハラメールへ返信する時に、宛先に同僚や上司を追加して同報返信して周知すれば、セクハラの加害者が言い逃れできなくなるので、交渉を進めやすくなるだろう。詳しくは「弁護士ドットコム(www.bengo4.com)」のサイトなども参考にしてほしい。

 職場のセクハラは、個人の尊厳を傷つける重大な人権侵害だ。個人の就業環境を悪化させ、能力を発揮する機会を収奪するだけでなく、職場秩序や円滑な業務遂行を妨げ、企業の社会的評価やイメージに深刻なダメージを与える。その結果、企業に損害賠償訴訟への対応などの経済的・時間的リスクものしかかる。

 セクハラは「社会のがん」なので、放任すれば蔓延し、無視すれば暴走し、早めに防御すれば寛解に向う。処方箋はある。たとえば、職場の男女比を適正化するのも得策だ。スウェーデンは、上場企業の取締役の4割以上を女性にすると定めた法律があり、実効を上げているからだ。

 グローバリゼーション、ダイバーシティ、LGBTなどのメガトレンドは、日本社会に巣食う閉塞した企業風土に風穴を空けるだろうか? セクハラがデス・ワード(死語)になる日は来るだろうか?
(文=編集部)

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