シリーズ「病名だけが知っている脳科学の謎と不思議」第22回

発声できるが言葉を理解できない!「失語症」と「脳症」の解明した脳神経学のパイオニアの物語

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ビタミンB1欠乏症やアルコール依存症から発症する

 ウェルニッケの碩学を世に広めた偉大な功績がもうひとつある。「ウェルニッケ脳症」の発見だ。

 ビタミンB1の極端な欠乏症やアルコール依存症に陥ると、寄り目になる(内斜視)、外側に目を動かせなくなる(外直筋麻痺)、眼球が細かく震える(眼振)、めまいなど眼球運動障害をはじめ、歩行困難、精神運動抑制(抑うつ)、無欲、注意力散漫、 傾眠(すぐに眠る)、昏睡、せん妄、錯乱などが起きる。さらに、健忘症、意識障害(こん睡)、作話障害を示すコルサコフ症候群などの症状を伴う中枢神経の機能障害、それがウェルニッケ脳症だ。ウェルニッケ・コルサコフ症候群と診断されることもある。

 ウェルニッケ脳症は、アルコールの大量摂取、摂食障害、インスタント食品などの極端な偏食、妊娠悪阻(重度のつわり)などによるビタミンB1の欠乏が主因だ。

 ビタミンB1は、糖質がエネルギーに変換される時に酵素として働くため、不足すると糖代謝が阻害され、エネルギー不足に陥るので、中枢神経機能が衰弱する。

 したがって、治療は、数日間1日1000mgのビタミンB1を静脈注射し、その後は150mgを内服する。また、重篤な末梢神経障害やアルコール依存症を伴う場合は、リハビリテーションも併用される。

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