「ウコン」に薬効なし? 飲み会前の救世主にプラセボ疑惑が!

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効いた気がするだけ? クルクミンの効能はプラセボ効果か?

 いかがだろう? 天然ウコンは、世界の民間療法に活用されているものの、主成分クルクミンの効能やエビデンスはないとする見解がある(A large scientific review study shows that curcumin in turmeric has no medicinal properties ― Quartz https://qz.com/883829/a-large-scientific-review-study-shows-that-curcumin-in-turmeric-has-no-medicinal-properties/)。

 冒頭に紹介したウォルターズ博士によれば、薬剤を開発する時は、特定のタンパク質に作用する能力を検証する。だが、クルクミンの化学組成は、タンパク質に作用しないのに、あたかも効果があったかのようなFalse Hits (偽の結果)をもたらす時がある。

 このような特性を持つ物質はPANIS(pan-assay interference compounds:広範な試験法に干渉する化合物)と呼ばれ、科学的な誤解を生みやすい。したがって、クルクミンの効能はプラセボ効果の可能性も否定でないため、クルクミンへの誤った期待や認識をもたらす恐れがある。

 「Journal of Medicinal Chemistry」の共同編集長ガンダ・ゲオルグ氏は、多くの労力と資金がクルクミンの研究に浪費されたため、クルクミンの効能への誤解と混乱を生んでいると指摘する。ウォルター博士は 、クルクミンの研究に投じられる予算や時間を、他に研究されるべき何千もの化学物質の研究にも投下するべきだと提案している。

ウコンに薬効がないとは決して結論づけられない

 以上のさまざまな事象から得られる結論は、ただひとつ――。

 ウォルター博士の研究は、ウコンの主成分クルクミンの薬効を統計的に見た見解であり、天然ウコンそのものの薬効の否定では決してない。このようなクルクミンの薬効を否定する論文は膨大にあるものの、ウコンに薬効がないとは決して結論づけられない。

 もちろん、ウォルター博士も同じ立場だ。つまり、天然ウコンの抽出物が人間の健康に有益な効果を及ぼす可能性は否定するものではないと付け加えているからだ。つまるところ、現時点では、クルクミンの薬効を否定する研究もあれば、公認する研究もある。天然ウコンの薬効にも賛否があるというのが公正な立ち位置ではないだろうか?

 ウコンの白い花は美しい。クルクミンの語感は愛らしい。ウコンとクルクミン。その薬効研究は、やや混迷含みだが、旨いカレーにありつくためにも、研究者諸氏の奮起を期待したいところだ。

 ちなみに、今回の論文発表を受けハウス食品は、「ハウス食品は、ウコンに対する論文を数多く発表し、客観的な評価も受けているので、今回の研究は、ウコン研究の一材料として捉えたい」とコメントを寄せている。

 ウコンは二日酔いによく効く? ウコンは飲み会前の救世主? すべて根も葉もないないガセネタなのか? 効いている気がするだけの根拠のない都市伝説なのか? ウコンは健康に有益なのか? ウコンの神秘と真偽の行方は? あなたは「ウコンの力」を信じる? 信じない?
(文=編集部)

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