運動不足の原因は脳にあった! デブの脳内では「運動しないように」という指令が……

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運動の好き嫌いは遺伝する?

 一方で、運動するよう言われたときに、ジムでトレーニングするか、ベッドにもぐりこむかは、その人の遺伝子に左右される――。その可能性があることが、新しい研究で示唆された。

 多くの人は、運動によって脳内のドーパミンレベルが上昇することで精神的な報酬を得る。ドーパミンは、動機づけや喜び、幸福感に関連する神経伝達物質だ。

 ところが一部の人では、ドーパミンの放出を妨げる遺伝子の働きで、この<恩恵>に浴していないと、研究を主導した米ジョージア大学運動生理学教授のRodney Dishman氏は述べている。

 同氏によると、米国では十分な有酸素運動を行っている成人は約半数で、推奨される筋肉トレーニングと有酸素運動を併用している人は20%に過ぎず、米国成人の3分の1は全く運動を行っていない。

 同氏らは、まず、健康的で活動的なラットと不健康で非活動的なラットを用いた研究を行い、2つのタイプのラットではドーパミン活性に関わる遺伝子に違いがあることを突き止めた。

 その後、3000人強の成人を対象とした臨床研究から、基礎研究と同様な結果が得られたという。

 米レノックス・ヒル病院(ニューヨーク)のKeri Peterson氏は、「ドーパミンは喜びを感じ、衝動を制御する脳内化学物質であり、その遺伝子の活性により運動するか、座りがちな生活習慣を選ぶかが決まる可能性がある」とコメント。

 今回の予備的研究から、運動への動機づけと嗜好は遺伝的にプログラムされていることが示唆されるという。

 この知見は2016年11月3日、米フェニックスで開かれた「米国生理学会(APS)」で発表されたが、査読を受けて専門誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

運動を続けるための2つの解決策

 しかし、運動しても楽しさを感じられない人は、<ナマケモノのような生活>をすることが運命づけられているわけではない。

 米マウントサイナイ・セントルークスト病院(ニューヨーク市)の栄養士であるDori Arad氏によると、遺伝的に運動を楽しめない人でも、これを克服し、健康的な生活習慣を身につけることはできるという。

 「遺伝子は非常に重要な要素ではあるが、変えられないものは何ひとつない。運動から喜びや報酬を得られるように脳内のプログラムは書き換えられる」と、同氏は述べている。

 ジョギングから喜びを得られないタイプの人間なのに、健康のために運動しなくてはいけない場合はどうすればよいのだろうか? 

 Dishman氏は、「運動を義務だと思うと、継続する理由がみつけられない」と説明し、その解決策として<心から楽しめる運動をみつける>、<他人と一緒に運動する>ことの2点を挙げている。
(文=編集部)

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