100以上の国や地域でプレイされている「ポケモンGO」。2016年7月に配信スタートするや日本でも大ブームとなり、さまざまな社会現象を引き起こしたのはご存じのとおり。
集団での交通違反にとどまらず、車の運転中にポケモンGOに興じたあげく死亡事故まで起きた。
その反面、自殺の名所として有名な福井県・東尋坊では、レアポケモンが出現するスポットとして人々でにぎわい、自殺者が激減したという効果が報じられた。
また、注目された効果のひとつに<運動>がある。ポケモンを探しまわるうちに、意識せずとも活動量が増える。
ところが先日、英医学誌『BMJ』(12月13日号)において、<ポケモンGOによる運動量増加は一過性のもの>という研究結果が報告された。
ポケモンGOによる運動量は持続しない?
「ポケモンGO」は、プレーヤーに「全てのポケモンを捕まえたい」と思わせることで運動量を増加させるのではないかと、公衆衛生学の専門家は考えていた。
だが、米ハーバード大学のEric Rimm氏らの研究では、このゲームは成人の身体活動レベルを短期間やや上昇させたが、その効果は長続きしなかったことが示された。
ポケモンGOは、2016年7月に配信開始された、スマートフォンの位置情報に基づくバーチャルリアリティゲーム。プレーヤーはバーチャルのポケモンキャラクターや報酬を集めるために物理的に歩かなければならない。
Rimm氏らは2016年8月、18~35歳のスマートフォン利用者約1200人を対象にオンライン調査を実施。
調査の結果、回答者の約47%は、2時間ほど歩き回ると達成できる「トレーナーレベル」までゲームを実施していた。ゲームを始めて1週間目のプレーヤーでは、1日あたりの平均歩数は955歩増加した。
これは<1日11分間>の歩行量増加に相当し、世界保健機関(WHO)の推奨する歩行量である<週150分以上>の約半分を占める。
ところが、その後の5週間で歩数は徐々に減少し、6週目にはゲーム開始前と同じレベルに戻った。
Rimm氏は、「今回の結果は、ポケモンGOの健康への影響はわずかである可能性があることを示している。少量の身体活動も健康には重要となりうるが、ポケモンGOによる歩数増加は、多くの運動介入と同様、長期間持続しない」とコメントしている。