ギャンブル依存のきっかけは?(shutterstock.com)
バドミントン男子の桃田賢斗、田児賢一両選手が違法カジノ店で賭博をしていた問題――。
日本バドミントン協会は4月10日、桃田選手を日本代表から外した上で「無期限の試合出場停止処分」、賭博の常習性が高かった田児選手にはより重い「無期限の登録抹消処分」とした。
これにより、メダル獲得が期待されていてた桃田選手のリオデジャネイロ五輪出場はなくなり、田児選手の選手生命も、事実上、断たれたといっていいだろう。特に田児選手は60回程度負けて1000万円の損失を出していたとされ、ギャンブル依存症的な状態であったと考えられる。
ギャンブル依存症は、精神科の領域では「病的賭博」とも呼ばれる。
『精神科ポケット辞典』(弘文堂)によると「持続的に繰り返される賭博行為によって、社会的、職業的、物質的および家庭的な価値を損なうまでになる状態。賭博行為が生活全体を支配し、賭博をしたいという強い衝動を抑えることが困難で、生活にストレスが多くなると増強する」とある。
スポーツ選手とギャンブルの関係
今回の件だけでなく昨年から続くプロ野球選手による野球賭博を見ても明らかなように、スポーツ選手とギャンブルの関係は根深い。
元大相撲力士の貴闘力も、そのひとりだ。2010年に野球賭博に関与したとして相撲協会からの解雇処分を受けた貴闘力。
彼がギャンブルに依存するようになったのは、オーストラリア巡業のときにカジノで5500万円勝ったことがきっかけだった。そのときの勝利が忘れられず、総額で5億円負けることに。
その後、貴闘力は自助グループに通ってギャンブル依存症から脱却し、2月8日に放送されたテレビ番組『しくじり先生』(テレビ朝日系列)でギャンブル依存症の過去を告白した。
大王製紙前会長・井川意高のケース
ギャンブル依存と言えば、大王製紙の前会長で、マカオやシンガポールのカジノで106億8000万円を使い、会社の金を不正に借り入れて2011年に逮捕され、懲役4年の実刑判決を受けた井川意高のケースは、その金額において最大級のものだろう。
週末にシンガポールに渡航しては、48時間、眠らずにカジノのVIPルームでギャンブルをやり続けていたという井川は、その告白本『溶ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』(双葉社)で次のように書いている。
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「負けが一定額になった段階でカジノをあとにする」
「勝ちが一定額になった段階で勝ち逃げする」
「借金をしてまで勝負しない」
これらのルールを厳格に守ってさえいれば、106億8000万円もの大金をカジノに突っ込むなどという馬鹿げた行動はとらなかったはずだ。
ギャンブラーは、そんな常識人のような発想はしない。4時間かけて500万円が2000万円まで膨らんだのであれば、8時間かければ1億円を3億円にまで爆発させることだってできるはずだ。元出がゼロになってしまう可能性は思考から排除し、倍々ゲームの未来を自分本位の脳内確率で夢想してしまう。
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