女性スモーカーが6万人増加した日本ではショッキングな報告
Garg氏は、「この知見は、糖尿病はそれ自体が独立した死亡のリスク因子であるため、肺がんのスクリーニングの有無にかかわらず、喫煙者では糖尿病の管理が重要であることを示している」と述べている。
米疾病管理予防センター(CDC)によると、米国の糖尿病患者は2900万人を超える。米レノックス・ヒル病院フリードマン糖尿病プログラムのGerald Bernstein氏は、「大局的な見地からすると、この知見はより脅威である」とコメントしている。
なぜなら、糖尿病前症の人でさえ、喫煙は、高血圧や脂質異常症と同様に死亡リスクを高めるからだ。ただし、同氏は、高血圧や脂質異常症は薬物治療で管理できる場合が多いのに比べて、禁煙にはたいへんな労力を要することへの理解も示している。
一方で、米ノースウェル・ヘルス・タバコ管理センター所長のPatricia Folan氏は、次のような課題を指摘している。
「糖尿病患者は、その他にも修正を要する生活習慣因子が多く、喫煙が重要な因子だという認識が甘い。心筋梗塞や脳卒中、腎臓病、感染症、下肢切断、失明などの合併症の多くが、喫煙によって、より生じやすくなることが理解されていない」
今回の興味深い新しい知見は、米シカゴで開かれる「北米放射線学会(RSNA、11月27日~12月2日)」で発表される予定。なお、学会発表された知見は、査読を受けて専門誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。
今年7月に「JT(日本たばこ産業)」が公表した「全国たばこ喫煙者率調査」の結果によると、成人男女の喫煙率は19.3%と過去最低となったが、女性は0.1ポイント増。推計すると、男性が前年より64万人減っているのに対して、女性は6万人も喫煙人口が増えている。
日本の女性スモーカーにとっては、アメリカでの報告とはいえ、<肺がんの死亡リスクが8割増>というショッキングな報告に違いない。
(文=編集部)