リオ五輪では35万個のコンドームが用意(shutterstock.com)
過日、卓球男子のリオ五輪メダリストである水谷準選手が爆笑問題のラジオ番組にゲスト出演し、ドーピング検査の不意打ち実態を明かしていた。彼自身も、当時の恋人と自宅で寛いでいた明け方に急襲された経験を持つそうだ。
その素直な口調にも好感を覚えたが、もっと驚いたのが世界レベルのアスリートになると「その夜はラブホに泊まるとしても、(協会側が把握できるように)正確な自分の居場所をPC上に登録しておかなければいけない」という、GPS級の検査規律の厳しさだ。
試合前は禁欲すべし!?
そんな意外な逸話ひとつからも、アスリートの健全な性生活(=性欲処理)ぶりが垣間見える。巷間よく囁かれているのが「試合前は禁欲すべし」「敗因は前日のセックス」などの通説だろう。
確かに古代ギリシアにおいては「スポーツ前は禁欲すべし」が、選手間の定説とされていた。今世紀でも2014年W杯の際、大会期間中のセックス禁止令を公表したロシアやボスニア・ヘルツェゴビナ勢、メキシコやチリ代表が見事に予選を勝ち抜いた例もある。
それはアリの一穴を見逃さず、不安材料を最大限に取り除いた上の万全態勢で臨みたい指揮官やコーチ陣からすれば「試合前の禁欲」を厳守させたい気持ちは古今東西、変わらないものだろう。
しかし、『Frontiers in Physiology』6月21日に掲載されたイタリア発、Laura Stefani氏(フィレンツェ大学医学助教授)らの比較研究論文は、そんな管理する側の禁欲優位説を覆しかねない結果を示唆している。