抗がん剤治療の前に生殖機能の温存をどう考えるべきなのか?

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抗がん剤治療の前に考えておくべきことshutterstock.com

 

 若いがん患者、特に女性患者の多くは、生殖機能を温存する選択肢について十分に認識していないことが、新たな研究で明らかにされた。がんやその治療によって一部の患者は生殖能力を失うことがあるため、若い患者や担当医師は、その問題と対処法について十分に話し合うことが重要だと、「Cancer」オンライン版に7月27日掲載された研究では指摘している。

 今回の研究では、2007~2008年にがんの診断を受けたティーンおよび若年成人約500人にアンケートを取った。その結果、70%以上が、がん治療により生殖能力に影響が及ぶ可能性があることを伝えられていた。しかし、選択肢について医師と話し合ったと回答した比率は、女性では男性の半分だった。男性の約3人に1人が生殖機能を温存するための対策を取ったと回答し、その比率は女性の4~5倍だった。

 このほか、教育レベル、保険加入状況、患者にすでに子どもがいるかどうかなどの因子が、生殖能力に関連するリスクや温存するための措置について患者と医師が話し合う確率に影響した。生殖能力の温存について医師と話し合う確率が特に低かったのは、保険に加入していない患者、すでに子どもをもうけている患者、生殖能力に対するリスクの少ない治療を受ける男性の患者だった。

 男性のなかで生殖機能温存のための措置を取る確率が低かったのは、大卒の資格をもたない患者、民間保険に加入していない患者、すでに子どものいる患者だった。女性では、生殖機能温存の措置を取っていた患者の数が少なかったため、同様の分析はできなかった。

 また、2007年から2008年の間に、男女ともにがん治療による生殖能力への影響と温存のための選択肢について医師と話し合うことが増えていることがわかった。

 今回の研究は「若い患者に生殖能を温存する選択肢について周知させ、がん治療の遅れを低減する対策を立てるため、費用を下げ、保険適用範囲を改善するとともに、がんを治療する医師と不妊治療専門医が協力する必要があることを浮き彫りにするものである」と、研究著者である米ワシントン大学、シアトル小児病院のMargarett Shnorhavorian氏は述べている。

生殖医療の専門家のいる外来の受診を

 日本でがん治療で男女とも生殖機能に障害を引き起こす可能性のある抗がん剤には、アルキル化剤のシクロホスファミド、イホスファミドなどがある。おもに小細胞肺がん・前立腺がん・骨肉腫・軟部肉腫・子宮頸がんなどに投与される。

 また、ホルモン療法でも生殖機能に影響する可能性がある。例えば女性の子宮体がんに使用される黄体ホルモン剤、男性の前立腺がんで使われるホルモン剤などのよって生殖機能が損なわれることがある。

 日本の場合アメリカのように医療保険の未加入者が大量に存在するわけではない。そのことで生殖能を温存するしないの選択肢が変わることは少ないだろう。将来、子どもを持つかどうかをよく家族で話し合い、生殖医療の専門家のいる外来を受診し、場合によっては抗がん剤治療前に精子、受精卵の凍結保存をしておく方法もある。さらには、未受精卵の凍結保存をしておいて将来的に体外受精、人工授精を行うという選択肢もある。

 いずれにしても抗がん剤治療前に担当医としっかりと話し合うことが不可欠だ。
(文=編集部)

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