「和食継承」を逆行する学校給食
ところが、『週刊現代』(9月24日・10月1日合併号)の記事「「学校給食」の不都合な真実…こんなものを子供に与えていいわけない!」に驚いた。
学校給食の献立には日本らしさは見る影もなく、犬食いを育む食器からしておかしい――。そう憤慨しているのは京都・祇園の老舗料亭『菊乃井』三代目主人である村田吉弘氏だ。
「味の落ちた冷凍食材を使って意味不明な料理を提供している」給食の代表例が魚で、「私の記憶にあるものだと『サバのソース煮』。(略)これではサバ本来の美味しさなどまるで感じられない」と、憤っている。
機内食の監修などにも意欲的に取り組む和食達人の舌鋒は、さらに自治体の民間委託によるセンター給食の実情にも斬り込んでいる。
「衛生面を重視するあまり、野菜などの生ものは85℃で3分間以上加熱している」例も散見され、「野菜炒めなんかはクタクタになって原形を留めていない」「学校に届ける間に冷め切って」「味はお察しのとおり」と、和食文化国民会議の副会長も務める氏は嘆く。
かつて受刑者たちの食事風景を視察した村田氏は「給食よりよっぽど豪華」だし、各刑務所で調理するので「味噌汁も熱々のまま配膳」「それがなぜ子供たちには叶わないのでしょうか」と、大いなる疑問を投げかけている。
同記事の主軸は、こんな給食事情を憂いての「和食の日」制定に対する文科省の一蹴ぶりと、学校給食を牛耳る「全国学校給食会連合会」の弊害(冷凍食品業界との癒着疑惑や給食費と材料費の差額問題)への告発性にあり、かなり不都合な真実を突いている。
ドラマ『Chef~三ツ星の給食』は給食を救えるか?
『菊乃井』といえば2009年以降、ミュシュラン京都・大阪で最高ランク(三ツ星)を獲りつづけている老舗料亭だ。そして冒頭で紹介した天海祐希さん主演のドラマは、『Chef~三ツ星の給食』である。
これは現実と虚構の偶然の連鎖だろうか? それこそ「瓢箪からコマ」ではないが、話題を呼んで現実の学校給食を改善する流れにつながればと願いたい。
そんな「給食」をめぐる現象のひとつが、9月9日に開店した『学校居酒屋 6年4組 池袋東口分校』(東京・池袋)。150席の店内では、お通しで駄菓子が食べ放題、メニューも「給食のあげパン」「給食のカレーライス」他、ドリンク類も「理科のお勉強」や「ガリガリ君ハイボール」などが並ぶ。
先日、爆笑問題のラジオ番組でも「給食」が話題となり、ライス初見参世代の太田光さんが「給食で白米が食えるなんて!という衝撃」を述懐。進化していると思われている学校給食にも、問題が山積しているようだ。
(文=編集部)