乙武洋匡氏の不倫騒動でみる~障害者だってセックスしたい
今年3月、先天性四肢切断の障害を持つ乙武洋匡氏の不倫が週刊誌で報じられ、大きな騒動になった。乙武氏はその後公式サイトで妻とともに謝罪するも、今度は「なぜ妻が謝らなきゃならないんだ」などの意見が相次ぎ、炎上。
不倫でこれだけ世間を騒がせたのは、彼が障害者であるからに他ならない。もちろん乙武氏のさわやかなイメージもあるが、我々は根拠もないのに漠然と「障害者に性的欲望なんて……」と障害者とセックスを切り離して考える節がある。
障害者はプラトニックでなければいけないのか? 障害者にも食欲、睡眠欲、性欲はある。問題は、不自由さ故に障害者がそれをスムーズに発散できないことが少なくないことだ。
乙武氏の場合も一人では処理しきれないわけだが、持ち前の明るさと積極性で女性にアプローチし、それを満たしていた。あそどっぐさんに率直に聞くと、「セックス大好きです!」――。
お涙頂戴の障害者像はもうたくさん
今年4月には障害者差別解消法が施行されたが、その内容はもちろん、法律の存在さえ知らない人が多いのが現実だ。
7月に起きた「津久井やまゆり園」の障害者殺傷事件は、福祉関係者を始め日本じゅうに大きな衝撃を与えた。多くの人が悲しみ、憤り、犯人の青年についてさまざま議論が巻き起こった。
この事件は、ふだんは世間の目から隠されている障害者の存在について、一般の人が知るきっかけとはなっただろう。まさに<障害>が注目されたこの夏、タブー視される「障害者=感動」という挑戦的なテーマに挑んだバリバラには敬意を表したい。
そして、本音をぶつけ合い、番組終了に「サライ」のメロディを口ずさみながらフェードアウトしていった「バリバラ」コメンテーターたちにも。
お涙頂戴の画一的な障害者像を覆すことが、ありのままの障害者の姿を伝えることとなり、あらたな福祉の道を切り開く第一歩になるのではないだろうか。
(文=編集部)