「ヘルプマーク」を知ってますか?(東京都福祉保健局のHPより)
高齢者ではないのに、電車やバスの優先席に座っている健康そうな人を見て「けしからん!」と感じたことはないだろうか。怒りを感じる前に、その人の鞄などに白い十字とハートマークのついた赤いタグをつけていないか確認しよう。
赤地に白抜きの十字とハートマークのタグは「ヘルプマーク」といって、義足や人工関節、内部障害、難病、妊娠初期の人など、外見からはわからない障害を抱えている人が身につけている。
さまざまな事情から、健常者より疲れやすかったり、同じ姿勢で立っているのがつらかったりする人々で、周囲の配慮や支援を必要としている。裏側のメモには「義足です」「ペースメーカーをつけています」などその人の状況や助けてほしい内容が書かれている。
ヘルプマークを身につけた人を見かけたら、電車やバスで席を譲る、困っているようなら声をかけるなど、思いやりのある行動が求められているが、認知度は今イチだ。
知らなかったことで情けない思いを……
7月10日にイラストレーターの「ぷちめい」さんがTwitterに投稿したヘルプマークについての漫画は一躍話題となり、リツイートは5万回以上。このツイートを見てはじめてヘルプマークのことを知ったという人もいるかもしれない。
通勤電車内で座っていたところ、見たことのない赤いタグをかばんにつけた男性がぷちめいさんの目の前に立っていた。大汗をかいて独り言をつぶやいていた男性を不審に感じながらも、タグの意味を知らなかったので席を譲ることはなかった。
その後、男性は電車内で倒れ、驚いたぷちめいさんが席を譲ろうとすると「ここは健常者のための席だから、私に構わず座りなさい!」と言ってかたくなに拒否。ぷちめいさんは後でそのマークについて調べ「ヘルプマーク」の意味を知り、非常に後悔したという内容だ。
ヘルプマークは東京都で2012年から配布を開始し、都営地下鉄で優先席へのステッカー表示を始めた。今年4月からは、京都府、愛媛県でも導入を開始。徳島県でも7月半ばに配布を始めた。今後、青森県、札幌市でも導入が決まっている。
ヘルプマークが全国に広がるのはよいことだが、その周知に力を入れなければ、ぷちめいさんの二の舞だ。優先席に座っていた人が高齢者に席を譲るよう迫られ、ヘルプマークを見せて「この意味をご存知ですか?」と聞くと、「知らない、とにかく席を譲れ」と言われたという話もある。