10個のリスク因子をなくせば9割の脳卒中を防ぐ
各ファクターのリスク低下率は、以下の通りだ。あなたは何%あてはまるだろうか。また、何%のリスクを改善することができそうだろうか。
1.高血圧……48%
2.運動不足……36%
3.血中脂質……27%
4.質の悪い食事……23%
5.肥満……19%
6.喫煙……12%
7.心疾患……9%
8.飲酒……6%
9.ストレス……6%
10.糖尿病……4%
これら10個のリスク因子を全部組み合わせた場合、すべての地域群、年齢群、男女でのリスク低下は90.7%にもなり、理論上では9割の脳卒中を防ぐことができる。
ただし、地域によりリスク因子の重要性は異なるようだ。たとえば高血圧は北米、オーストラリア、西欧では約39%の脳卒中を引き起こすが、東南アジアでの寄与率は約60%になるという。
今後10年で脳卒中になる確率を簡単に計算
一方、日本にも、茨城、新潟、高知、長崎、沖縄の5県で1993年に40~69歳だった男女計1万5672人を平均14年間追跡した大規模調査「JPHC研究」がある。
この間、実際に脳卒中になった790人のリスク因子を調べ、発症確率を求めたものだ。
それによると、日本人の脳卒中の原因の上位となるのは、高血圧(35%)、喫煙(15%)、肥満(6%)、糖尿病(5%)と推計されている。日本においてもまず高血圧対策、そして禁煙というのが定説のようだ。
国立がん研究センターなどの研究グループは、この研究を元に40~60歳代の日本人が脳卒中になる確率を自分で簡単に予測できる算定表を開発し、Webで公表している。
年齢、肥満度(BMI)、性別、喫煙習慣、糖尿病、血圧の6つのポイントから点数化し、合計点数を求めると「今後10年間の脳卒中発症確率」を予測でき、血管年齢も判定できる。40歳以上の人は試してみてほしい。
「10年間で脳卒中を発症する確率について リスク因子による個人の脳卒中発症の予測システム」
血管を若く保つことは、脳卒中はもちろん、日本人の死因第2位である心疾患の予防にもなる。各国に明確なデータがある以上は、見て見ぬふりをしていても仕方がない。
将来の健康に不安を感じている人は、できるところから少しでもリスクを取り除く努力をしてみてはどうだろうか。
(文=編集部)