ダンスユニット「エグスプロージョン」が「障害者差別解消法」を動画解説
ヘルプマークがあまり知られていないなら、本家本元(?)の「障害者差別解消法」も同様ではないだろうか。今年4月に施行されたこの法律の正式名称は「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」。2006年に国連でつくられた「障害者権利条約」に批准したものだ。
目的は、障害のある人もない人も、共に暮らせる社会を目指すこと――。当たり前のことのように聞こえるが、これまで障害者はたくさんのバリアを感じながらいろいろなことをあきらめ、肩をすぼめて生活するしかなかったという現実がある。
以前にこのコラムで紹介した寝たきり芸人「あそどっぐ」さんが、Eテレ「バリバラ」内でダンスユニット「エグスプロージョン」と共演し、障害者差別解消法を解説した動画を披露した。作詞はあそどっぐさん、とてもわかりやすいと評判だ。
この法律のおもな柱は2つ。「不当な差別的取り扱いの禁止」と「合理的配慮の提供」だ。
前者の「差別的取り扱いの禁止」は、たとえば市町村役所などで障害を理由に対応を拒否する、本人を無視して介助者にだけ話しかける、障害を理由に受験や入学を拒否するなど。
盲導犬を連れているからとレストランが入店を断る、不動産業者が障害者向けの物件はないと断るなどもここに含まれる。
「合理的配慮」は“心のバリアフリー”であるべき
わかりづらいのは、役所や企業に義務づけられた「合理的配慮」。内閣府のパンフレットによると、「障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたときに、負担が重すぎない範囲で対応すること」とのことだ。具体的にはどのようなことだろうか?
日本障害フォーラムのパンフレットには、次のような例が掲載されている。
①時間や順番、ルールなどを変えること。
たとえば知的障害のある人に対し、ふりがなをふったり、わかりやすい言葉で書いたりした資料を提供するなど。
②設備や施設などの形を変えること。
車椅子利用者がスムーズに建物に入れるよう、入り口の段差を解消するためスロープを設置するなど。
③補助危惧やサービスを提供すること。
発達障害者のために、他人の視線をさえぎる空間を用意するなど。
ただし、この「合理的配慮」、民間企業については努力義務でしかない。
ご丁寧にも「負担が重すぎない範囲」と記されているから、たとえば障害者がレストランに車椅子で入店しようとしたところ、「通路が狭いから他の客の迷惑になるので車椅子では入れません」と店側が言えば、それで終わってしまう可能性もある。
「入り口に近い席の人に代わってもらいましょうか」と店側が対応策を提案するのも一つ。障害者サイドも「すみません、お願いできますでしょうか」という人、「そこまでお願いするのは心苦しいのでけっこうです」と遠慮する人とさまざまだ。
互いに話し合って落としどころを見つけることが、この合理的配慮=心のバリアフリーではないだろうか。
(文=編集部)