衝撃「遺伝子組み換え作物は安全」! 米科学アカデミーの発表にTPPで盲従する日本

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遺伝子組み換え作物が安全という根拠は?

 だが、消費者の安全性へ不安や健康への懸念は根強く残る。遺伝子組み換え作物の問題点は何か?

 第1に、遺伝子組み換えは、分類の異なる生物種のDNAを細胞外で加工し、加工したDNAを他の生物種の細胞内に移転して複製する。自然界で起こらない遺伝子操作を強制的に行うため、生態系に悪影響を及ぼす可能性がある。

 たとえば、バクテリアの遺伝子をトウモロコシに組み込むなど、自然界にない遺伝子操作を人為的に行うため、生物多様性の損傷リスクや遺伝子変異の発生リスクを確実に予知できない。

 第2に、健康に悪影響を与える可能性が強い。遺伝子組み換え作物の安全性の根拠は、遺伝子組み換えを主導する多国籍バイオ企業や研究機関による実験データが多く、実験期間も90日と短く、実験データは未公開だ。

 遺伝子組み換え作物の危険性を指摘した学者や研究者が罷免され、社会的な制裁を受ける事実があるのは疑問だ。

 米国で遺伝子組み換え作物の生産が始まって以来、がん、白血病、アレルギー、自閉症などの慢性疾患が急増している。アルゼンチンでは、平均発症率の41倍ものがんをはじめ、白血病、肝臓病、アレルギーなどの重篤な発症例の報告がある。

 遺伝子組み換え作物の安全性は、中立公正な研究機関が長期間にわたって綿密に分析し、得られた実験データのエビデンスに基づいて実証するべきだ。

 第3に、遺伝子組み換え作物に依存する農業は、環境汚染を引き起こす。大規模な除草剤の空中散布やネオニコチノイド系農薬などの殺虫成分は、森林、土壌、河川、海洋の汚染、魚や鳥の死滅など、自然環境を破壊するリスクが高い。

 しかも、風雨に運ばれた除草剤や農薬が近隣の非遺伝子組み換え作物を栽培する田畑や地下水を汚染すれば、作物を食べたり、地下水を使った妊婦や子どもに甚大な健康被害をもたらす恐れがある。

 2015年3月20日、WHO(世界保健機関)のIARC(国際ガン研究組織)は、種子市場で世界最大のシェアを持つ多国籍バイオ化学メーカのモンサント社が1970年に開発した除草剤ラウンドアップを発ガン性がある物質(2A)に分類している。

 さらに、深刻な問題がある。遺伝子組み換え作物は、サトウキビや大豆を大量に使ったバイオ燃料の大量投入によって、洪水、干ばつ、暴風雨などの気候変動を悪化させる誘因になる懸念もある。

 また、花粉の交配による遺伝子汚染や大規模な除草剤や農薬の噴霧によって、農作物が枯渇することから、有機農業や従来型農業と共存できない点も見過ごせない。

 遺伝子組み換え作物に依存するモンサント社のような多国籍バイオ企業が遺伝子組み換え種子の特許を一手に握って種子企業を買収し、農業生産の市場を独占するのは、機会均等と自由競争を保障した経済民主主義と相容れないという指摘もある。

 このように、遺伝子組み換え作物は、消費者の健康や安全性へ不安、自然環境破壊への懸念など、いくつもの課題を孕んでいる。

日本がTPPに加盟すれば、遺伝子組換え作物を食べざるを得ない事態が

 今後、遺伝子組み換え作物のバイオビジネスは、とくに人口増加や経済成長に支えられたアジア・太平洋地域に巨大な市場を形成する見込みがあるという。しかし、自然災害、砂漠化、耕地面積の激減、食糧自給率の低下、人口爆発、飢餓、地球温暖化などの危機に遺伝子組み換え作物は、どのように役立つのだろうか?

 遺伝子組み換え作物に批判的で、食品表示義務を求めている欧州連合(EU)は、商業栽培の規制や禁止は加盟国の自由裁量とする立場を明確にしている。かたや、日本では商業栽培は制限されているものの、大量に輸入・消費されている現実がある。

 日本がTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に加盟すれば、遺伝子組み換え作物を推進する多国籍バイオ企業の寡占がいっそう進み、食べたくない遺伝子組換え作物を食べざるを得ない事態が起きるかもしれない。

 5月21日、東京都中央区銀座の水谷橋公園で「反モンサント大行進」が開かれ、多数の都民や市民が参加した。今こそ、私たちの「食の礼節」を守るべき時ではないだろうか。

 ちなみに、遺伝子組み換え作物による健康被害の問題にフォーカスしたドキュメンタリー映画『遺伝子組み換えルーレット 私たちの生命へのギャンブル』(日本語版)がある。興味があればアクセスしてほしい。 
(文=編集部)

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