男性はみなナルシシズム(自己愛)が強い!? いまや「自己愛性パーソナリティ障害」は16人に1人

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男は誰もがナルシシスト!?(shutterstock.com)

 「あらゆる星が北極星を中心として動いているように、世界は私を中心として動いている。私は秩序そのものであり、法律そのものである」――ウィリアム・シェークスピア『ジュリアス・シーザー』

 シーザーのように、ありのままの自分を受け入れず、自分は特別で偉大な存在だと肥大化した自己意識をもつ障害、それが自己愛性パーソナリティ障害(Narcissistic personality disorder ; NPD)だ。

 作家の三島由紀夫や太宰治、画家のサルバドール・ダリ、指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤンはNPDだったとされる。彼らは、幼少期に母親から拒絶された経験をもつという説がある。なぜNPDに陥るのか?

 2009年、アメリカの心理学者ジ−ン・M・トウェンギとW・キ−ス・キャンベルが著した『自己愛過剰社会』(河出書房新社)によると、10年間で発生率は2倍以上に増加し、16人に1人がNPDと推定している。

 NPDのルーツは、ギリシア神話きってのイケメン、ナルキッソスだ。ナルキッソスは、恋を打ち明けられた精霊エコーにつれなくしたため、女神ネメシスの怒りを買い、「自分の姿に恋焦がれよ!」という罰を受ける。ナルキッソスは、泉に映る自分に見惚れたまま痩せ衰えて死ぬ。水辺に一輪のスイセン(Narcissus)が残された……。

ナルシシズムに陥ると健全な人間関係を築けない

 だがナルキッソスは甦る! 2015年3月、ニューヨーク州立大学バッファロー校の研究者らは、複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析するメタ解析を行い、「男性は女性より強いナルシシズム(自己愛)を示す傾向がある」という研究結果をまとめた。

 研究者らは、過去30年に及ぶ約47万5000人の男女のデータと355以上の過去の論文を綿密に解析。「ナルシシズム」「ナルシスト」「自己陶酔」「男女」「性別」「男性」「女性」のキーワードを活用し、「リーダーシップ/権威」「誇大妄想性/自己顕示癖」「権利主張」の 3つの側面にどのような男女差が現れているかを詳細に調べた。

 筆頭研究者のエミリー・グリハルバ教授によれば、ナルシシズムに陥ると、健全な人間関係を築けない、非倫理的な行動をとる、攻撃性を見せるなどの問題行動を起こすが、自尊心が高まり、情緒が安定し、リーダーとしての資質が高まる傾向もあると説明する。

男は誰もがナルシストか!?

 分析結果からどのような男女差が確かめられたのかを見よう。

 男女差が最も大きかったのは「権利主張」。男性は他人を利用すると、より特権意識を感じやすい。自分は特別な人間だから、自分が満足するためなら、他人を利用しても構わないと思い込む傾向が強い。

 次に男女差が大きかったのは「リーダーシップ/権威」。男性は権威欲が強い。自分は生まれつき他人に影響を与える能力があるリーダーだから、より大きな権威を持ちたいと考える傾向が著しい。

 男女差がなかったのは「誇大妄想性/自己顕示癖」。男女を問わず注目されたいという虚栄心とプライドがある。鏡に映る自分の姿を見るのが好きだから、注目されたい、敬愛されたい、賞賛されたいと願う傾向が大きい。

 さらに、年齢による男女差を検証すると、男性は年齢に関係なく一貫して、ナルシシズムの傾向が強いことが分かった。男性はだれもがナルシストなのだ!

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