21年間も生き続けた脳死生存も!脳死出産の奇跡も続々と!
世界中で大きく取り上げられた今回の出産劇だが、信じられない長期脳死や脳死生存、脳死出産の事実がまだある。
脳死すれば、数日から1週間で心停止するが、1998年に米国の脳神経学者D・A・シューモンが行った統計的な大規模調査によると、脳死判定後1週間以上も、心臓が鼓動していた生存例が175件ある。
また、脳死の状態で1年以上も心臓が動いていた生存例も3例ある。最長例は21年。この男性は4歳で脳死判定され、脳死のまま身長が伸び、2004年に心停止。解剖すると脳は死滅していたが、脳死でも生存の統合性は維持される事実を世界に示した。日本でも小児脳死の大規模調査が行なわれ、長期脳死が数例、確認されている。
脳死出産も稀ではない。2013年11月14日付けのAFP Newsによれば、デブレツェン大学医療科学センターは、妊娠15週目に脳出血で倒れ、脳死判定された女性が判定から約3か月後の妊娠27週目に、ハンガリー東部のデブレツェン病院で帝王切開の末、元気な男児を出産したと発表している。
同センターのベラ・フレディ所長によると、男子の体重は1.42kgの低体重児だったが健康状態は良く、すくすくと育っている。出産後、この女性の臓器は、他の患者に移植された。
脳の機能は、未だ完全に解明されていない。脳死は、脳の機能が恒久的に消失した状態という現象を科学的に実証するまでには至っていない。
しかし、脳死しても生き延びる人がいる。脳死しても出産する妊婦がいる。脳死した母は亡くなっても子どもは生き続ける。260gで生まれた世界最小の女児は12歳、日本最小の女児は9歳に成長しているはずだ。
脳死生存や脳死出産の事実を知れば知るほど、脳の不思議、生命の営みの神秘に尊厳を感じざるを得ない。
(文=編集部)