世界初! 脳死の延命治療55日後に1kgの低体重児を無事に出産!

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赤ちゃんは脳死の母胎で成長し続ける?shutterstock.com

 母親が脳死状態でもお腹の赤ちゃんは育ち、出産ができるものなのか?

 4月20日付けのAFP Newsによれば、昨年末、ポーランド南部のウロツワフ大学病院で女性(41)が脳腫瘍で脳死した。この女性は、55日間の延命治療を受けながら、今年1月、妊娠26週目に男児を帝王切開で出産。出産後、人工呼吸器が外されたため、死亡している。

 ウロツワフ大学病院のバルバラ・クロラク・オレイニク新生児部門部長によると、在胎週数17~18週目の妊娠状態を数週間も保持しながら、26週目で出産に至った世界初の出産例ではないかと話す。

 出生時、男児は1kgの低体重児だったが、現在は3kgに成長。人工呼吸器を付けずに自発呼吸し、哺乳瓶からミルクを飲んだ。とくに在胎週数32週未満の低体重児は、肺などの生命機能が未熟のために、さまざまな合併症を起こすリスクが高い。

 在胎週数36週未満の場合は、新生児特定集中治療室(NICU)で保育される。だが、この男児は、重篤な呼吸障害(急性呼吸窮迫症候群)や致命的な循環障害(脳室内出血、肺出血)の合併症は診られなかったことから、退院して親族に引き取られた。

 低体重児(低出生体重児)は、出生時に体重が2,500g未満の新生児だ。1500g未満なら極低出生体重児、1000g未満なら超低出生体重児と呼ぶ。

 脳死した女性のように、在胎週数が短く出生する早産によって体重が小さいケースと、胎児の発育制限によって体重が小さいケースがある。両方の原因が組み合わされて出生する早産低出生体重児もある。

 ちなみに、世界最小の低体重児は、2004年にイリノイ州で260gで生まれた女児、日本最小(世界2番目)の低体重児は、2006年10月に慶應義塾大学病院で25週目に265gで生まれた女児だ。

肺・心臓・脳の機能が全停止!呼吸、脈拍、対光反射が全消失!すると!

 一般的に人間の死亡とは、肺・心臓・脳の全機能が停止した状態。つまり、呼吸、脈拍、対光反射(瞳孔反射)が消失し、脳の全機能が不可逆的に回復できない段階に達した状態だ。

 しかし、現在は、脳が心肺機能を制御する能力を失い、かつ自発呼吸が消えても、人工呼吸器によって呼吸と血液循環を維持できるため、脳死(brain death)という状態が発生する。

 脳細胞は、脳の高度な機能を維持するために、エネルギー消費量が多いが、酸素不足に極めて脆弱だ。心肺停止すれば、わずか3分たらずで脳への酸素の供給が途絶するため、知的な精神活動を支えている大脳皮質の脳細胞の大部分が死滅する。

 同時に人格を完全に喪失し、外部の刺激に応答できない失外套症候群(しつがいとうしょうこうぐん)に陥ると、10数分以内に脳機能の大半が失われ、昏睡して生命の維持が危ぶまれる。

 このような脳死に陥れば、筋肉の随意運動が消え、無感覚になることから、人工呼吸器が実用化された1950年代は、超昏睡とか不可逆昏睡と呼ばれた。人工呼吸器を外せば心停止する状態、それが脳死と判定されてきたのだ。

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