“切れ”が増すどころか「暴走老人」が問題に
一方、彼らの「I can't get no satisfaction~♪」をBGMに政治の季節を闘ってきた、日本の“団塊老人”たちはどうだろう。
“切れ”が増すどころか、近年は「暴走老人」なる言葉も定着し、『週刊東洋経済』(3月19日号)では特集「キレる老人」を組むほどの荒れた趨勢だ。
駅員への理不尽な要求場面や、相次ぐタクシー運賃の踏み倒しや逆ギレ暴行の報道。終電車内での世代間いざこざや、売り場レジでの執拗な罵倒劇……。一見はいかにも管理職系紳士による、キレる老人ぶり全開の独壇場を目にする機会が増えている。
リタイア後も役職意識が捨てられない。街へ出ても自尊心を武装解除できない。結果、親切心に無意味な逆ギレで応じてしまう。あるいは自らの失態を責任転嫁して怒鳴り散らす……。その顛末や因子は様々だろうが、昭和の言い回しでは「カルシウム不足」か。
ささやかな生活習慣の積み重ねが自己防衛に
感情をつかさどる脳は加齢に伴い委縮し、比例して老化現象が起こる。なかでも「前頭葉」の委縮は早い。意欲や判断力の低下、感情(衝動)の抑制機能も徐々に損なわれてゆく。大量の喫煙や飲酒を謳歌した団塊世代であれば悪影響も多々あろう。
だが、今の世では、思わず「キレる」という不測の顛末の当事者に誰もがなりえかねないほど世知辛い。だからこそ、日々のささやかな生活習慣の積み重ねで、脳の衰えを自己防衛しよう。そう、健康のダイスを転がして。
(文=編集部)