医療ドラマ『フラジャイル』を愉しむウラ話〜数年前まで病理診断は“医行為”ではなかった!?

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病理医は病理学者より格下だった!?(shutterstock.com)

 話題の医療ドラマ『フラジャイル』(フジテレビ系)も4話目を数え、各登場人物の人柄や立ち位置も定着。今回は岸京一郎(長瀬智也)が病理診断に迷ったり、患者への告知を巡り外科医の細木まどか(小雪)と仲違いを起こしたり、さまざまな人間模様が交差し始めた。

 今回はぜひ、視聴者に知っておいてほしい病理医の歴史を紹介しよう。

標榜科としては10年未満の浅い歴史

 「たいへん悲しいことに、日本の医療法の中で“病理業務”は長く検査の一部とみなされてきました。病理医が行なう、病理医にしかできない専門性の高い病理診断が、法的には臨床検査技師法配下の“病理検査”として規定されており、医療法で定義されていなかったのです」

 そう語るのは、専門家の立場から『フラジャイル』の愉しみ方を教示している堤寛教授(藤田保健衛生大学医学部病理学)である。

 「長らく“検査の一部”だったのは、非常におかしなことでした。なぜならば、病理診断は医師免許がなければできない職務。実務的にも法廷にも検査機械技能士や臨床検査技師にはできない、してはならない医行為を担う立場なのですから」
 
 その病理診断が、臨床検査技師法から医療法へと規定し直されて、法的に(=正式に)、かつ真の意味で“医行為”とみなされるようになったのは「つい先頃」とは意外で驚いた。

 「規定が直されたのは、2008年4月からです。不合理にも長く認められなかった病理診断科が、ようやく内科や外科と並ぶ標榜科(=政令上、病院や診療所が外部に広告できる診療科名)となった。そんな大きな変革があってから、まだわずか10年にも満たないのです」

 歴史をさかのぼれば、平成元(1989)年に日本病理学会は、当時の厚生省に次のような疑義解釈を提出。「病理標本をみて、いろいろな細胞の変化を総合的に判断して、特定の診断名をつけるのは“医行為”と考えられる」

 こうして、病理診断には医師免許が必要だと位置づけられた。ところが、2008年まで保険点数の規定は相変わらず「病理検査」のまま。臨床医は、疑義解釈に基づく病理診断の本質論にほとんど気づいていなかったのだろう。


 「こうした不合理な責任の一端は、日本病理学会にもあります。今となっては笑い話ですが、1990年まで日本病理学会の英文名は『The Japanese Pathological Society』(直訳すれば、「日本の病的社会」)でした」

 「実は、それを現在の英文名『The Japanese Society of Pathology』に変えるように提言したのは、まだ若き30代の私でした。1987年頃の話ですね」

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