Yahoo!に設けられた治験ボランティアのサイト
大手IT企業のヤフーが運営する自社検索サイト「Yahoo!」で治験協力者を募る取り組みを1月12日から始めた(リンク先を参照)。医療関連企業と提携した新たな試みで、日進月歩な薬の種類の多様化に伴い、より有効性・安全性が問われ、広範な治験協力者が必要とされている事情が背景にある。
「治療の臨床試験」を略して治験。医薬品や医療機器の製造・販売に際しては厳格な臨床試験を経た上での法令上の承認が必要だが、旧来の協力者探しは口コミ紹介などの企業主導型で行なわれてきた。が、企業の開発プロセス上に含まれるという条件が法改正で緩和され、医師主導型でも実施可能となって以降は新聞や求人誌上の公募広告もよく見かける。
月々の治療費が浮いてランチ代も
ヒトへの治験は、動物を用いた非臨床試験(前臨床試験)を通じて薬の候補物質が絞られたり、機器の有効性・安全性が慎重に検討された後、製造・販売の可能性が期待される場合に初めて行なわれる。しかし、あくまでも人体試験である故、総じて協力謝礼は高めだ。
先日利用したタクシーの運転手さんが、治験予備軍の一人と知って道中、体験談を聞いた。「同僚の誘いで1年程前から月1回、治験の仲介会社とクリニックに通っている」という彼の場合は、毎回の交通費&治療費相当が協力費の名目で支給され、「ランチ代程度は残るかな」とのこと。
境界型糖尿病の彼は、従来から月一度の検診を居住区の病院で受けてきた。それが「治験のバイト代欲しさで指定の主治医に変更したかたち」だ。が、治験の設定条件をクリアするまでの処方箋(=薬代)は従来と変わらず自分持ち。実質、治療費が浮くのが「利点」だという。
合格して治験が開始されれば「5000円の協力費が月1万円にアップされ、元来の仲介を取り持った紹介会社からも合格祝い金が改めて出る(笑)」。ところが、初提案の薬は試用中の血糖値で不可、2度目の試みも薬との相性が合わずで、「この1年間、合格体験はゼロ」と語る。