同様の解析は他にもある。たとえば2012年に仏・パリの研究者が、医療従事者を対象に行った実験だ。
30人の医療スタッフに午前8時、通常の状態と夜勤明けの状態で、運転シミュレーターによるテストを実施。都市で15分+高速道路などの自動車道で60分行い、反応時間、スピードや事故数、自動車道での直進性などを解析した。
その結果、夜勤明けでは高速道路などの単調な運転で直線走行を続けるのが、通常より困難であることが明らかになった。さらにスピードのコントロールも難しくなったことから、交通事故を起こすリスクが高いことが実証されたという。
ところが、夜勤明けの事故リスクに根本的な解決方法はない。簡単に生体リズムを夜型にできないからだ。ヒトの体内時計は、最低でも3週間程度を要するという。
夜勤時の眠気対策には、30分ほどの仮眠を1~2回取ったり、コーヒーなどカフェインの覚醒作用を利用したりすることだ。クルマ通勤の場合は、わずかでも帰宅前に仮眠を取ることも効果的だ。
労働者自身の意識も重要だ。状況判断の能力がいつも通りではないことを自覚し、決して無理をしないことが、いまのところ最大の安全策といえる。
(文=編集部)