シリーズ「最新の科学捜査で真犯人を追え!」第8回

白骨死体の顔は嘘をつかない!? 頭蓋骨から生前の顔を復元する方法

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頭蓋骨は雄弁に物語る(shutterstock.com)

 顔から火が出るほど恥ずかしい時は、合わせる顔がない。人の顔に泥を塗ったら、顔向けできない。顔色をなくしたり顔色を窺ったり、顔を潰したり顔を汚したり。顔を売ったり顔を貸したり、顔を立てたり顔を繋いだり。浮かぬ顔、涼しい顔、何食わぬ顔、澄ました顔、知らぬ顔の半兵衛……。顔という生きものは、神出鬼没、変幻自在! 本性を現したかと思えば、不意に隠したり、何と世の中を悪賢く立ち回る魔物だろう! では、顔を失った白骨死体はどうか? 嘘をつけるのか、つけないのか?

 眼光鋭い検視官を前にすると、白骨死体でも嘘はやすやすと見抜かれてしまうらしい。白骨死体を調べれば、かつての持ち主の性別、年齢、身長、血液型、DNA型がすべて分かるからだ。それらのデータから、行方不明者を探し、該当者が見つかれば、その人物の顔写真と頭蓋骨の特徴を比較して、同一人物かどうかを鑑定できるのだ。

 このような方法で、顔写真と頭蓋骨を照合するのがスーパーインポーズ法だ。スーパーインポーズ法は、顔写真と頭蓋骨を透明フィルムに焼き付け、フィルムを重ね合わせて、顔の輪郭、眉、眼窩(がんか)、鼻、唇など18カ所の位置関係を比較する鑑定法だ。

 だが、顔写真の顔は、さまざまな角度を向いているため、頭蓋骨の向きや大きさに合わせて撮影しなければ、照合の精度が高まらない。このような欠点を改善したのが、3Dスーパーインポーズ法だ。3Dスーパーインポーズ法は、3Dスキャナで頭蓋骨を撮影し、コンピュータのモニター上で照合するので、頭蓋骨の向きや大きさを自由自在にコントロールしたり、皮膚や筋肉の厚さを正確に測定できる。あらゆる角度から顔写真と総合的に比較検討できるため、照合の精度が飛躍的に高まった。

 ところが、行方不明者の顔写真がない場合はどうするのだろう? 粘土による復顔法とCG(コンピュータ・グラフィクス)による復元法がある。粘土による復顔法は、頭蓋骨の模型を作り、頭部や顔面20数カ所の部位に年齢平均値に準じた粘土量で肉付け・立体化し、顔貌を復元する。似顔絵を描いて復顔するケースもある。

 一方、CGによる復顔法は、1991年に科学警察研究所が開発した画像システムだ。頭蓋骨を3Dスキャンし、そのデータからCG画像の顔貌を復元する。ヘアースタイルや色を変えたり、年齢にふさわしい皮膚の色やシワを加えたり、多彩なバリエーションをプラスできるので、高精度かつスピーディに、かつての持ち主の顔を甦らせることができる。

 街の派出所などに行方不明者や家出人などのポスター貼り出されているが、あの顔は粘土やCG画像から作られたものが多い。

 その他、CTスキャンした3D画像を用いた前頭洞指紋法(ぜんとうどうしもんほう)も活用されている。前頭洞は眉間(みけん)の辺りにある副鼻腔。前頭洞の形態は個人差が大きいので、前頭洞指紋法なら、同一人物かどうかを高い精度で個人を特定できるのだ。

 このように、3Dスーパーインポーズ法やCG画像を使えば、頭蓋骨から顔があっさりと割れる。クレオパトラも楊貴妃も小野小町も、美人もブスも、イケメンも醜男も、みんな丸見えなのだ!? まさに白骨死体の顔は嘘をつかない!


佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。

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