CAEBVは、発症に男女差はなく、EBウイルスは世界中のほとんどの成人が既感染者だ。EBウイルスは、乳幼児期には家庭内や保育所で、思春期以降では異性間の交流を中心に、唾液を介して主にBリンパ球(まれにTリンパ球、NK細胞)へ感染する。
患者団体は「誰が発症してもおかしくない」とメカニズムの解明を願い、「CAEBVの周知徹底」と「(EBウイルス定量検査にかかる)費用の負担軽減」を国に求めている。
だが、がんや感染症は、難病指定から除外されるのが通例だ。早期発見と確定診断に不可欠な血中検査は、保険適用外(自己負担1~2万円)という壁が、診療の手遅れを招く一因にもなっている。
風邪や膠原病とも混同されやすいCAEBVの発症率は「100万人に1人」ともいわれ、正常なリンパ球を増やす造血幹細胞移植だけが唯一の期待療法とされている。しかし、移植可能な身体状態による制限、情報の乏しさやリスクから敬遠した結果、手遅れとなるケースも少なくない。
愛娘に先立たれた両親は「娘の闘病生活は頭が下がるほど立派でした」と、病床での松来さんを述懐。本人も「いつか手記を出して同じ病気に苦しむ人の支えになりたい」と考えていたという。
事務所関係者も今回の病名・死因の公表を機に「より多くの方に『慢性活動性EBウイルス感染症』という病気を知っていただき、早期発見と治療法の進展に繋がることを願っております」と故人の遺志を代筆している。折しも、来年から難病指定が56疾患から306疾患に拡大される。EBウイルス検査も早く保険適応となることに期待したい。
(文=編集部)