「Dr.まあやさん」こと脳外科医の折居麻綾さん
テレビ番組『家、ついて行っていいですか?』(テレビ東京系)は、終電を逃した人の家を訪問させてもらうという現場チャレンジ型番組。今年6月の放映では、絵の具箱をひっくり返したようなド派手な身なりの女性が登場。この女性、折居麻綾さんが、じつは脳外科医でファッションデザイナーだったことから、ネット上で話題騒然となった。12月17日から個展を開く、話題の女医にインタビューした。
自分の死ぬ姿が見えたとき、ファッションデザイナーになろうと決心
「自分の人生の終わりが見えたのです。死ぬ瞬間が想像できてしまったのです」
と、「Drまあや」こと折居麻綾さんは、34歳でファッションデザイナーを目指そうと決めたときのことを、こう振り返る。当時、折居さんは、脳外科専門医として医局で働きながら大学院に通っていた。しかし、脳外科の中のどの分野を極めていけばよいのか悩んでいたという。そのとき、頭の中に、自分の未来がいとも簡単に描けてしまった。
「脳外科の専門医として、病院を転々として、ある病院で定年を迎える。その後は、その病院の近くの老人施設の施設長になります。私は、近くのマンンションに住んでいるのですが、ある日孤独死するのです。施設の職員の人たちが『今日、先生来ないね。どうしたんだろう』と言い出して、事務局長が警察立会いのもとに、マンションのドアを開けると、私が死んでいる。という光景がまざまざと見えました」
いささかエキセントリックな想像だが、医師のキャリアが、勤務医か開業医か、そしてわずかの研究者かの3種類に限定されるのは確かだ。安定しているとも言えるが、レールから外れようがないともいえる。日本の医師の生涯キャリアパスは選択肢がそれほど多いとはいえない。それが女性であればなおさらだ。
「医師の大半は、国家試験に合格して医者になった時点で人生の7割に満足していると思います。日本の医師は、自分が進む専門分野の希望が通りやすいこともあって、満足度は高いのです」とも。
しかし折居さんは、違った。34歳でキャリアに悩んでいたとき、電車の中で、専門学校の「海外芸術大学留学科オープンキャンパス」のポスターを見て決心する。「ファッションデザインの勉強をしてみよう。新たな道に進もう!」