かたや日本ではどうか? 関西のある大学では、人権教育の基本方針に「性的指向や性的自認による差別を行なわない」と明記。また、会社の倫理規定や行動規定に国籍や人種、性別、宗教、障害などによる一切の差別やハラスメントをを禁じる項目の中に、性同一性、性的指向を加えている企業も出て来ている。
しかし、LGBTに理解を示す企業でも、トイレ問題を積極的に解決しているとはいいがたい。現に、人権基本方針の差別禁止項目に「性的指向と性自認の差別を一切行ないません」と追記した大手流通グループの店舗にも、まだトランスジェンダーの人が入りやすいトイレはできていないのではないか。
先の電通ダイバーシティ・ラボの調査によると、LGBT層の市場規模は5.94兆円だそうだ。無視できる数字ではない。商品やサービスのカテゴリーは、食費にファション、家電・AV機器、家具・インテリア、化粧品、通信、ペット関連、旅行、カルチャー活動など多岐にわたる。この市場のシェアを少しでも多くゲットたいのなら、LGBTのトイレ問題を解決し、アピールすることが企業の発展にもつながるのではないだろうか。
(文=編集部)