利用者側としては、今後、路上弁当に対して少し意識を変える必要がありそうだ。栄養士の諏訪さんに、路上弁当を購入するときの注意点を伺った。
「路上弁当の販売は歩道で固定されたところが多く、運搬容器を解放したまま販売されているところも多くみられます。本来であれば、ビルの中や自動車での販売形態が望ましいですが、路上であれば弁当等を運搬容器に入れて温度管理を心がけていると思われるところを選びましょう。お弁当のおかずは、生ものが入っていないものを。当然、販売している人の身なりの清潔感も一つの指標となるでしょう」
平成20年から平成24年までの5年間で、路上販売の弁当に限らず、弁当によって発生した食中毒の原因物質で最も多かったのは、「ノロウイルス」で患者数は740名、次いで「ウエルシュ菌」は472名、「黄色ブドウ球菌」は60名、「サルモネラ属菌」は23名と続く。
ノロウイルスは、カキの内臓に多いため、カキ料理には気をつけたい。その他、魚介類が最も多く検出されている。また、意外と知られていないウエルシュ菌は、牛・豚・鶏などの食肉に汚染されていることが多い菌だ。しかし65度以上に加熱しても死なないため、一度に大量のスープやカレーなどを調理した際に発生しやすいため、弁当類もリスクはある。
黄色ブドウ球菌は、どの食品でも食中毒の原因となるが、特に穀類やその加工食品に多く見られ、特におにぎりが食中毒発生の4割を占めている。弁当も報告の多い菌である。サルモネラ属菌は、生肉、レバー、卵に含まれる。肉や卵を外食する場合は、必ず加熱されたものを選びたい。
もうじき路上の弁当屋が、衛生面で淘汰されることになる。お気に入りの弁当屋が、衛生面でレベルアップし、生き残るのを期待したい。
(文=編集部)
(監修)
諏訪淳子
一般社団法人健康栄養支援センター代表理事。栄養士、美容栄養学専門士、美容食インストラクター(R)、日本ビューティーヘルス協会会長など肩書き多数。「食事はカラダの美容液。健康で美しいカラダづくりに食事は基本」との考えの下、行政・企業主催による食育イベントや講演会の実施、美容栄養学の講座や料理教室の開催、テレビ、新聞、雑誌などへの出演や番組・記事制作協力など他分野で活躍中。
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