体重を測るだけで痩せる? shutterstock.com
食事量も運動量も特に変えず、普通の生活をしながら、ある簡単な行為をするだけで体重がみるみる減少していく......。そんなおとぎ話のような話を信じる人は、そう多くはないだろう。だが、世間ではそんなダイエット法を実践して効果を実感している人々が大勢いる。その簡単な行為とは、「計るだけダイエット」。「体重を毎日測る」、たったそれだけである。
メタボ該当率が県内1位だった愛知県蒲郡市は、その危機感から2014年度に「体重測定100日チャレンジ!めざせ1万人!」という事業を企画。約6000人の市民が参加し、このうち3240人(男性1404人、女性1836人)は100日間にわたり、毎日決まった時間に体重を測定し、パソコンかスマートフォン・携帯電話、もしくは手書きで記録した。その結果、体格指数を表すBMI値が適正値に近づいた人が増えたという。
体重測定100日後にBMI値が「標準」だった人の数は、男性が19人増し、女性は24人増しとなった。また、測定を始める前のBMI値が18.5未満の「やせ」の人は順調に増え、25以上の「肥満」の人は順調に減るという顕著な結果となった。
このことから、毎日の体重測定は、体重が減るだけでなく、「痩せ」タイプの人も標準体重へ向かうということが分かった。より適正な体格に誘導されるようだ。
なぜ体重測定が適正体重へつながるのか?
蒲郡市民が行ったことといえば、ただ毎日体重を測って記録する習慣をつけただけである。しかし、このことは、目には見えない、何か大きな意識の変化があったことが予測できる。
一時期、「レコーディング・ダイエット」なるものがブームになった。これは食べたもののカロリーを逐一メモするだけで痩せられるというダイエット法だ。この方法は、体重を測るだけで痩せられることと類似している。そこで、このレコーディング・ダイエットの効果のメカニズムを探ってみよう。
レコーディング・ダイエットが成功するのは、食べたものとそのカロリーを記録することで、自然とカロリーの低いものを選択するようになったり、効率的な摂取へ向かったりする効果があるからだといわれている。また、続けていくうちに「食べる=記録」という思考回路が身に付くため、記録するのが億劫なときは自ずと無駄食いが減るようだ。
このメカニズムは、毎日体重を測って記録することに通じるものがある。朝、体重を測って、「昨日より少し太った、痩せた」などのちょっとした意識付けが加わると、理想的な体重へ向かうよう、自然とその日の食事や行動面への心がけが変化するのではないだろうか。