その場合に患者の足つぼからの"響き"の感覚は足から経絡に沿って上がる。
治療後、「足のツボを刺している時に、口の中の唾液が溢れて、口、のどの乾燥がだいぶ減った」と患者が治療の感想を言われた。
その後、養陰清熱の治療を週に2回のペースで持続し、患者の食欲は戻り、熟睡ができ、口腔、のどの乾燥も消え、1カ月後、知らないうちに、微熱、のぼせも完全に消えた。
がん性発熱、微熱は体内の陰陽バランスが崩れて、体力、免疫力の低下により生じることである。だから、治療の場合に、単純な解熱という対処治療がなかなか効かないのである。がん性発熱、微熱を起こす根本から治療しないと、治療効果は見られないだろう。
中医学の針灸治療はがん患者の身体のアンバランス状態を整え、もう一度がん患者自身の治癒力、免疫力を回復させて熱を下げることである。しかし、針灸治療とは直接にがん性発熱、微熱を下げる治療であると誤解はしないでいただきたい。
孫 迎
孫 迎(そんげい)
1985年中国上海中医薬大学卒業。元WHO上海国際針灸養成センター上海中医薬大学講師、上海市針灸経絡研究所主治医師1987年糖尿病について優秀な研究成果で、中国厚生省の三等奨を獲得。来日後、早稲田大学大学院臨床心理学修了。中国医学開発研究院理事長、専任教授。呉迎上海第一治療院副院長。
●得意分野:婦人病、不妊症、痛症、運動系、リウマチ、内科、内分泌科等。