腸内細菌を徹底解剖 第5回

大腸がんを予防する食物繊維、そもそも腸の中でどんな役割を果たしているのか?

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5大栄養素に次ぐ「第6の栄養素」といわれる食物繊維 shutterstock.com

 前回は、大腸がんに罹らない食生活のコツについて話した。今回は、大腸がんに罹らない食生活に必須の食物繊維について話そう。

5大栄養素に次ぐ「第6の栄養素」

 厚労省の「日本人食事摂取基準」によれば、食物繊維の1日目標摂取量は、男性19g以上、女性17g以上だが、実際は平均14~15gに低迷したままだ。

 炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素に次ぐ「第6の栄養素」といわれる食物繊維。ヒトの消化酵素で消化されにくい成分で、水溶性と不溶性がある。不溶性2、水溶性1の割合でバランスよく食べることが大切だ。

 水溶性食物繊維は、ヌルヌルとした粘性があり、保水性が高い。糖分をゆっくりと吸収するので、食後の血糖値の急激な上昇や脂肪の吸収を抑え、血中コレステロール値を減少させる。ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、フコイダンなどがある。

ペクチン
 血糖値の急激な上昇を防ぐペクチンはコレステロール値の上昇を抑え、熟した果物、かぼちゃ、キャベツ、大根などに多く含まれる。

グルコマンナン
 こんにゃくなどに多く含まれるグルコマンナンは、食べ物を包み込んで消化・吸収を妨げ、水分を吸収するため、胃の中で膨らんで満腹感を与える。

アルギン酸
 海藻のぬめり成分のアルギン酸は、コレステロール値や血糖値の上昇抑制、便秘解消、動脈硬化の予防に役立つ。こんぶ、わかめ、もずく、めかぶなどの海藻類に多く含まれる。

フコイダン
 フコイダンも海藻のぬめり成分で、肝機能向上、抗アレルギー、血圧抑制などの効果がある。こんぶ、わかめ、もずく、めかぶなどの海藻類に多く含まれる。

 一方、水に溶けにくい不溶性食物繊維は、水分をよく保持して、便のカサを増やすので、排便を促したり、発がん性物質などを体外へ排出する。セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、リグニン、キチン・キトサンなどに多く含まれる。

セルロース
 穀類の外皮に多く含まれセルロースは、食事から摂取する食物繊維の大半を占め、腸内で有害物質を吸着し、便の排泄を促す。りんご、大豆(おから)、ごぼう、穀類などに多く含まれる。

ヘミセルロース
 ごぼう、小麦ふすま、玄米、大豆などに多く含まれ、セルロースに準じた働きがあるヘミセルロースは、腸内の善玉菌を増やし、便秘の予防や有害物質の排泄などに大きな効果がある。

ペクチン
 不溶性と水溶性があるペクチンは、熟成するにつれて、水溶性に変わる。不溶性は、腸内の有害物質を排泄し、便秘や大腸ガンを予防する。熟成していない果物、野菜などに多く含まれる。

リグニン
リグニンは、コレステロール値の上昇を抑制し、腸内の善玉菌を増やす。ココア、豆類、イチゴ、なしなどに多く含まれる。

キチン・キトサン
 えび、かにの殻などに多く含まれ、血圧やコレステロール値の上昇を抑えるキチン・キトサンは、免疫力や自然治癒力を高める効果がある。

野菜、海藻類、きのこ類、穀物類を組み合わせて食べよう

 このように、水溶性食物繊維は、水に溶けやすく、水に溶けるとゲル状になり、胃の中の食べ物を包みこむ。その結果、善玉菌が優勢になって腸内環境がよくなるため、食べ物の移動・消化・吸収が緩やかになり、便をやわらかくする。

 かたや不溶性食物繊維は、水に溶けず保水性が高いので、腸の中で水分を吸収して十数倍に膨らむ。その結果、便の量が増えるため、大腸のぜん動運動が促され、排便がスムーズになり、便秘が解消される。しかも、大きく膨らむので、満腹感を得やすく、食べすぎを防げる。よく噛まなければ食べられない食品が多いため、満腹感を得やすいのがメリットだ。

 ただ、不溶性食物繊維は普段の食事で摂りやすいが、水溶性食物繊維は食品が限られているので、不足しやすい。 野菜、海藻類、きのこ類、精製していない穀物などを組み合わせて食べよう。便秘解消だけでなく、脂質、糖、ナトリウムをそのまま排出するため、大腸がんや生活習慣病の予防はもちろん、ダイエットにも効果が期待できる。それが食物繊維のもつ驚異的な底力だ。

 次回は、食物繊維のルーツについて話そう。

「腸内細菌を徹底解剖」バックナンバー


佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。

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