"一日ひとかけのチョコ"が心疾患や脳卒中のリスクを軽減?

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カカオ分が高いチョコレートを一日一かけ! kash*/PIXTA(ピクスタ)

 街のあちこちのショーウインドウに、おいしそうなチョコレートが並ぶ「バレンタインデー」の季節。しかし中にはもらっても「甘すぎる」「太るから」「肌が荒れる」と、あまり手をつけない人がいるかもしれない。

 だが待って欲しい。チョコレートの原料であるカカオは、古代の王族たちの間で不老長寿の万能薬として珍重されてきた歴史がある。そして近年の科学に基づく調査や研究から、その健康効果に改めて注目が集まっているのだ。

1日6gのチョコで血圧が下がった!

 特に期待値が高いのが、原料のカカオに含まれる「カカオポリフェノール」だ。ポリフェノールといえば、がんや動脈硬化などの病気を引き起こす活性酸素の働きを抑える物質。赤ワインに豊富なことはよく知られているが、チョコレートにはそれよりもはるかに多量のポリフェノールが含まれている。
 
 健康効果のひとつとして最も注目を集めているのは、チョコレートの血圧降下作用。海外で多くの疫学調査や臨床研究が行われており、「チョコレートを食べると血圧が下がる」と結論づけた論文は約150もある。 

 ドイツの大学が行った研究では、血圧が高めの男女44人を2群に分け、片方には1日6.3gのダークチョコレート(カカオ分70~90%で乳脂肪分や糖分が少ないもの)、もう片方にはポリフェノールを含まない同量のホワイトチョコレートを18週間食べてもらった。

 すると、ホワイトチョコレート摂取群はほぼ変化がなかったが、ダークチョコレート摂取群は血圧の有意な低下が見られた。血圧低下の幅は平均で最大血圧が2.9㎜Hg、最小血圧が1.9㎜Hgになった。体重やコレステロール、血糖値などには変化がなかったという。

 ダークチョコレートによる血圧降下そのものは大きくはないが、平均値として上の血圧が2㎜Hg下がれば、脳卒中にかかるリスク約6%、虚血性心疾患は約5%下がると言われる。その意味で、この結果は注目に値するものだ。しかも量は1日にわずか6.3g。板チョコひとかけ強の大きさで、熱量も30kcalにしかならない。

血管を元気にし、ストレスにも強くなる

 血圧降下を促すのは、カカオポリフェノールの一種「エピカテキン」という物質。チョコレートを食べると小腸でエピカテキンが吸収されて血液中に流れ込み、血管の内皮細胞に取り込まれてその働きを活性化。血管内皮の弾力性が増すことで、血圧の上昇が抑えられる。つまりエピカテキンには血管を若々しく、しなやかに保つ働きがあるのだ。

 そのほかにも、チョコレートには次のような健康効果が報告されている。

●がん予防効果への期待。試験管内に発がん性物質とカカオポリフェノールを加える実験では、細胞DNAの突然変異が抑制されることが明らかになった。

●チョコレートの香り成分が、集中力や注意力、記憶力を上げることが人の脳波や学習実験から確かめられている。

●抗ストレス。身体的・心理的なストレス状態にあるラットに、カカオポリフェノールを与える実験を行ったところ、ストレスに対する適応力が上がった。

●アレルギーのつらさを和らげる。マウスにカカオポリフェノールを与えたところ、アレルギーの原因となる活性酸素の過剰な働きが抑えられ、人にチョコレートを食べてもらう実験でも同じ効果が見られた。

 効率的にチョコレートの恩恵を得るなら、カカオ分が多くポリフェノールが豊富なダークチョコレートがお勧めだ。ただし脂質や熱量も高いので食べ過ぎに注意。上の実験にあるように1日6g程度で十分効果は得られるだろう。

 最近は「カカオ分○○%」と明記し、健康を意識して選ぶ商品も増えている。血管の若さを保つために、ぜひ"一日一かけ"の習慣を取り入れてみてはいかがだろうか。
(文=編集部)

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