連載第2回 沸騰するアジア医療圏

韓国の美容整形外科はアカデミックな医療として確立している

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 沸騰するアジア経済圏の最初に取り上げる国は、隣国の韓国にしてみたい。

 韓国に対しては反日感情もあり、一時期の韓流ブームも薄れ、どちらかというと好きでは無い国というイメージがおおいかもしれない。しかしアジアにおける地位を確実に築いている国である。

 例えば日本がアニメや食事などのコンテンツで「クールジャパン」という形で海外に打ち出しているが、韓国でもファッションや生活スタイルということで「江南スタイル」を海外に打ち出している。江南とは通常日本人が韓国に描いているイメージとはかなり違うエリアである。日本人が韓国に対して抱くイメージは古い町である明洞や南大門といった、ごちゃごちゃしたいわば新宿のようなイメージであろう。しかしこの江南エリアは表参道のような感じで高級ブランドショップが立ち並び、韓国の芸能人や高所得者が住むエリアになっているのである。

 何が言いたいかというと韓国においても昔のイメージを持ったままでは間違ってしまうという事である。
 
 医療に対しても同じことが言える。例えばこの江南エリアは美容整形とか美容歯科といった富裕層向けのクリニックが立ち並び、それぞれ繁盛している。歯科のグループとしては、本連載でも今後たびたびでてくる、国際的な医療機関の認証であるJCI(Joint Commission International)の認証を取っているイエ歯科グループなどもここにある。それ以外にも大学病院も所有するcha病院のグループの美容整形外科は写真に示すように非常にハイソなイメージで、値段も高いのだが韓国の高所得者層で賑わっている。

再生医療研究と美容整形との関係

 韓国で美容整形が人気である理由は、韓国人の多くが美容整形に熱心であり、需要が大きいことが挙げられる。しかしそれだけではなく供給側の要素つまり医師側の要素もある。日本で言えば美容整形外科というのは通常の保険診療を行っている医師から見ると少し特殊な医療であり、美容整形外科医も特殊な医療を行っている医師というイメージが強い。しかし韓国においては美容整形外科は専門医として完全に確立されている。日本のように国民皆保険制度を持ってはいるが保険診療の点数が低く、保険でのカバー率が低い韓国においては自由診療に対してのハードルは低くないために、医師もある程度の所得を望む場合に美容整形外科になるという選択肢があるのである。

 美容整形外科が韓国で人気なのはもう一つ理由がある。日本においても iPS細胞研究で有名になったノーベル医学賞受賞の山中先生がいるが、韓国においても再生医療の研究が盛んなのである。

 ただ韓国においては、いちどES細胞の研究において不祥事が起きた。映画化までされた、ヒト胚のクローンからES細胞(胚性幹細胞)を取り出すことに成功したと捏造結果を発表して世界を驚かした事件である。こういったこともあり、現在の韓国ではiPS細胞の研究といった基礎的な研究というよりもむしろ臨床応用に近い研究が盛んなのである。

 そしてこの分野はアンチエイジングにつながったりすることで美容整形との関連性も高い。こういったことから韓国では美容整形外科もかなりアカデミックな医療の1分野として見なされているのである。ちなみに韓国で美容整形を行うのは日本人もそれなりの数だが、中国人も非常に多いと言われている。

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真野俊樹


真野俊樹(まのとしき)
多摩大学大学院教授
医療・介護ソリューション研究所所長

名古屋大学医学部卒業。医師、医学博士、経済学博士、MBA。
臨床医を経て、95年9月コーネル大学医学部研究員。外資系製薬企業、国内製薬企業のマネジメントに携わる。同時に英国レスター大学大学院でMBA取得。2005年6月多摩大学医療リスクマネジメント研究所教授就任、その後現職。東京医療保健大学大学院客員教授、財団法人医療機器センター客員研究員、JA共済総研客員研究員、JCI アジアパシフィックエリアアドバイザリーボード、篠原学園保育医療情報専門学校校長、NPOMINS理事長、NPOメディカルユニティ理事長、一般社団法人メディカルクオリティアカデミー理事長などを兼任。

主な著書『MBA10人の選択』(はる書房)、『糖尿病療養指導基本トレーニング』(日本医学出版)、『健康マーケティング』『医療マーケティング』『医療マネジメント』『介護マーケティング』『新版 医療マーケティング』(以上 日本評論社)、『医療バイオ、医療IT入門』(薬事日報社)、『入門医療経済学』『入門医療政策』(中公新書)、『保険薬局経営読本』(薬事日報社:編著)、『医療経済学で読み解く医療のモンダイ』(医学書院)、『人事・管理職のためのメンタルヘルスマネジメント』(ダイヤモンド社)、『グローバル化する医療』(岩波書店)、『ジョイントコミッションインターナショナル認定入門』『世界標準のトヨタ流病院経営』(以上 薬事日報社、監訳)、『経営学の視点から考える患者さんの満足度UP』(南山堂)、『医療が日本の主力商品になる』(ディスカバー携書)、『比較医療政策』(ミネルバ書房)、『命の値段はいくらなのか?』(角川Oneテーマ新書)など。
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真野俊樹(まの・としき)

多摩大学大学院教授、医療・介護ソリューション研究所所長。医師、医学博士、経済学博士、MBA。名古屋大学医学部卒業。臨床医を経て、95年9月、コーネル大学医学部研究員。外資系製薬企業、国内製薬企業のマネジメントに携わる。同時に英国レスター大学大学院でMBA取得。2005年6月、多摩大学医療リスクマネジメント研究所教授就任。その後、現職。東京医療保健大学大学院客員教授、財団法人医療機器センター客員研究員、JA共済総研客員研究員、JCI アジアパシフィックエリアアドバイザリーボード、篠原学園保育医療情報専門学校校長、NPOMINS理事長、NPOメディカルユニティ理事長、一般社団法人メディカルクオリティアカデミー理事長などを兼任。主な著書『MBA10人の選択』(はる書房)、『糖尿病療養指導基本トレーニング』(日本医学出版)、『健康マーケティング』『医療マーケティング』『医療マネジメント』『介護マーケティング』『新版 医療マーケティング』(以上 日本評論社)、『医療バイオ、医療IT入門』(薬事日報社)、『入門医療経済学』『入門医療政策』(中公新書)、『保険薬局経営読本』(薬事日報社:編著)、『医療経済学で読み解く医療のモンダイ』(医学書院)、『人事・管理職のためのメンタルヘルスマネジメント』(ダイヤモンド社)、『グローバル化する医療』(岩波書店)、『ジョイントコミッションインターナショナル認定入門』『世界標準のトヨタ流病院経営』(以上 薬事日報社、監訳)、『経営学の視点から考える患者さんの満足度UP』(南山堂)、『医療が日本の主力商品になる』(ディスカバー携書)、『比較医療政策』(ミネルバ書房)、『命の値段はいくらなのか?』(角川Oneテーマ新書)など。

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