だがIVRで破壊された骨にアクリルの樹脂を注いで強度を回復すると、痛みは劇的に取り除かれる。センターで緩和医療科の科長を務める里見絵里子医師がIVRの利点を説明する。
「手術からの回復が早いことが特徴で、すぐに鎮痛剤の使用量が減り、悩まされていた眠気が消えます。歩くことも可能になりますから、入院から外来に切り替わり、患者の方々の社会復帰をサポートすることができます」
前出の荒井センター長は「IVRをがん治療の〝第4の柱〟としたい」と意欲を見せる。
「これまでのがん治療は手術、化学治療、放射線治療が3つの柱でしたが、IVRは患者の方々にとって負担が少ないことが最大のメリットです。今後、更に高齢化が進むわが国において力を発揮すると思います」
これまでにも国立がん研究センターの中央病院では治療にIVRを使ってきた。だがセンターが開設されることで他病院の患者の受け入れが進む。IVRの実績が更に増え、患者だけでなくプロの医師にも認知度が高まるという〝広告塔〟の役割が期待されているようだ。
(文=編集部)