飲み過ぎたら"骨折"に"短命"!? 骨を強くする「牛乳神話」が崩された

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崩れた牛乳神話? kornienko/PIXTA(ピクスタ)

 現代の日本の食卓に欠かせない常備食品といえば「牛乳と卵」。冷蔵庫の中にいつも収まっているこの2つは、栄養面でも完全食品だ。その一方で、牛乳には今、赤信号が灯っている。「牛乳を1日コップ3杯以上飲むと寿命が短くなる」というセンセーショナルな研究が発表されたからだ。

 スウェーデンのウプサラ大などの研究チームが同国中部の45~79歳の男性4万5,000人、39~74歳の女性6万1,000人を対象に女性は約20年、男性は11年間にわたり食生活や健康状態などを調査。その結果、男女とも牛乳の摂取量が多い人ほど、少ない人と比べて死亡率が高かった。しかも女性では骨折が増えるという。この驚くべき報告は、10月末に英医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』に掲載された。

 数値に幅があることから、AFP通信が研究チームに問い合わせたところ、10年間で1,000人あたりの死亡数を比較すると、女性では1日3杯以上牛乳を飲む人は180人、1杯以下は110人。男性では3杯以上が207人、1杯以下は182人で女性の方が3杯と1杯での差が大きかったという。

 一方、股関節の骨折では、女性は3杯以上が1,000人中42人、1杯以下は31人だった。

牛乳の糖質が悪影響の原因か?

 

 「えっ! 牛乳は優秀なカルシウム源で骨を強くするはずじゃなかったの!?」。これまでの牛乳神話が、一気に覆された格好だ。

 一般社団法人・日本乳業協会のホームページによると、牛乳100gの主な栄養素はアミノ酸をバランスよく含んだタンパク質3,3g、消化吸収のよい脂質3,8g、牛乳の固形成分中最も多い99,8%の乳糖からなる炭水化物4,8g、水分は87,4gで大半が水分である。ミネラルのなかでもカルシウムは110mg、カリウムは150mg。栄養的には申し分ないはずだが......。

 では牛乳の何が悪さをしているのだろうか? 研究グループの見解は、牛乳に含まれている糖質「D-ガラクトース」の影響を指摘する一方、牛乳以外の影響も否めないとしている。D-ガラクトースは寒天の成分でもある。これがどのように死亡率や骨折に作用しているのか。研究グループも今回の報告は「あくまでも調査結果」としている。つまり、「ただちに牛乳を飲まないで」ということではないようで、これからの研究で問題点は解明されることになる。

日本にはバランスのよい和食がある

 

 日本人の牛乳の消費量は欧米人に比べ、ここ10年間減少し続けているという。2012年度の日本人1人当たりの牛乳消費量は31,6ℓ、1位のフィンランド132,4ℓ(農蓄産業振興機構より)と比べるとなんと約4分の1の消費量だ。スウェーデンなど欧米人は多量に牛乳を飲用しているのが実態。日本人とは食生活そのものが異なることは明らかだ。

 牛乳を「飲む、飲まない」というのは極論だ。私たち日本人は、世界に誇れるバランスのよい食事・和食で育まれてきた。間もなく戦後70年、現代はまさに飽食の極みだが、このニュースは「バランスのよい食生活」とは何かを気づかせるよいきっかけになっている。
(文=編集部)

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