映画『アウトブレイク』はエボラ出血熱の流行を20年前に予言していた

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『アウトブレイク』監督:ヴォルフガング・ペーターゼン/出演:ダスティン・ホフマン/レネ・ルッソ/モーガン・フリーマン/キューバ・グッディング・ジュニア/パトリック・デンプシー
VHS版制作年1995年(ワーナーホームビデオ)

●時に現実は過去の映画を再現する

 

 2013年12月、ギニアでの集団発生に端を発し、アフリカ大陸のみならず、ヨーロッパやアメリカにも感染が拡大しているエボラ出血熱。この致死率の極めて高いウイルスをモデルにした映画が、今から20年も前に作られていた。

 ダスティン・ホフマン主演、ウォルフガング・ペーターゼン監督による映画『アウトブレイク』である。

 作品が公開された1995年当時、エボラ出血熱の発生はアフリカ中部に限られていたため、日本やアメリカでは遠い世界の出来事でしかなく、作品自体を完全なフィクション・エンターテインメントと捉えていた人が多かった。

 しかし、今改めて見直すと、その恐怖は現実味を帯び、身近に迫りつつある。殺人ウイルスがアメリカで"アウトブレイク"するというショッキングな内容は、まさに今、懸念されていることなのだ。

致死率100%のウイルス

 物語の概要は以下の通り――。ザイールのモターバ流域で未知のウイルスによる伝染病が発生。患者は嘔吐、下痢、目や耳、歯茎からの出血、臓器融解などの後、死に至る。同時期に、アフリカからアメリカの田舎町にウイルスの宿主のサルが密輸された。そのサルからウイルスが拡散し、町では患者数が爆発的に増加。米陸軍感染症研究所のダニエルズ大佐のチームは、感染経路の特定と治療法の発見に全力を挙げる。

しかし、陸軍上層部は、すでにこのウイルスの存在を知っていた。1960年代、モターバ流域で内戦に参加していた傭兵部隊に出血熱が発生した際、米軍が気化爆弾で封じ込め、なおかつ細菌兵器として利用するために患者の血液を持ち帰り、血清まで作っていたのだ。

 モターバウイルスによる感染症の致死率は100%で、エボラウイルスのそれを遥かに凌ぐ。さらに、このウイルスは空気感染型に突然変異し、頼みの綱である陸軍の血清は変異ウイルスには効果がない。封じ込めや治療に光明を見出せない様子に、暗澹たる思いがこみ上げる。

軍の陰謀が治療法の発見を阻む

 物語は後半、別の様相を呈してくる。いつのまにか、ウイルスよりも陸軍上層部のマクリントック少将のほうが、敵としての存在感を増しているのだ。彼は以前と同様、気化爆弾を町に落とし、細菌兵器の秘密とともに町を葬り去ろうと画策するが、当然、ダニエルズはそれを阻止する。

 クライマックスは、まさかの(とってつけたような)ヘリ空中戦だ。ダスティン・ホフマン、ドナルド・サザーランド、モーガン・フリーマンなど、そうそうたるメンバーをそろえ、大作らしさを出したいという欲が出てしまったのか。一方、変異ウイルスに対する血清は、小学校の理科の実験並に簡単にできあがるが、果たしてその効果は......。

 パニック、アクション、家族愛、友情、正義感などをぎゅっと詰め込んだ、良くも悪くも"ザ・ハリウッド映画"といえるだろう。

 ところで、エボラウイルスは映画のウイルスと異なり、血液、吐瀉物、排泄物に触れ、傷口や粘膜からウイルスが入った場合にのみ感染する。WHOも、空気感染型に変異すると立証するものはないとの見解を出している。今のところ、西アフリカでのアウトブレイクがパンデミック(世界的大流行)に至る可能性は、それほど高くないかもしれない。だが、油断は禁物。いかなる状況にも万全を期すことが大切になる。

 現在、エボラ出血熱に有効なワクチンや治療薬はないといわれているが、日本のインフルエンザ治療薬で治癒した例もあり、新薬やワクチンの準備も急ピッチで進められている。映画ではご都合主義的に思えるエンディングだが、多くの患者を抱えている国々で、この結末が現実化することを望まずにはいられない。

(文=チーム・ヘルスプレス)

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