テレビやSNSで見る あの専門家 の発言は信用できるか?

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最も検索された10人はメディアでアクティブ

 今回、このような疑問に答えるヒントを与える、”Characteristics of Top-Searched Individuals in Japan’s Yen for Docs Conflicts of Interest Database During the COVID-19 Pandemic”という論文を、Cureus誌から発表させていただきました。( https://www.researchgate.net/publication/374807887_Characteristics_of_Top-Searched_Individuals_in_Japan's_Yen_for_Docs_Conflicts_of_Interest_Database_During_the_COVID-19_Pandemic )

 この研究では、2021年8月27日から9月23日までの約1か月間で、Yen for Docs Databaseにおいて、最も検索された10人の個人を対象に分析が行われました。

 その結果、調査期間1か月間の総検索回数は72,904回、そのうち最も検索された1人の検索回数は4,905回でした。検索回数の最も多かった10人がそう検索数の約3割を占め、全員が男性で、主に大学との所属や、コロナ禍の時代背景を反映した、感染症関連の専門家であることが判明しました。彼らが研究期間中までに発表したCOVID-19に関する論文の中央値は5本、h-index(研究者の業績を示す指標)の中央値は34でした。

 そして、その方々が受け取っていた製薬マネーの2016-2019年までの総額の中央値は$154,930、日本円にすると200万円以上でした。さらに興味深いのは、検索回数トップ10に入っていた10人のうち、実に8人が、テレビやTwitterでアクティブな存在であったことです。

 では、これらの情報から何が言えるのでしょうか。

コロナ下で専門家に多くの謝金が支払われている

 まず、コロナ下でテレビやSNSでよく見かけるような専門家が、実際にYen for Docs Databaseでは検索されており、このデータベースは、彼らの金銭的関係を透明化するという役割を果たしていました。また、これらの専門家は学術的な業績も一概に優れていましたが、彼らが長年にわたって相当な金額の支払いを受け取っていたことは、注目すべきです。

 例えば、2020年5月5日放送のゴゴスマ(TBS系列)という番組で、愛知医科大学の三鴨廣繁教授は「(アビガンは)早期に投与した方がよく効く。確かに副作用として肝障害とか生殖毒性というものはありますけど、『早期に投与できればきちんと直すことができる』というイメージが我々にはある。こういった薬が一般の先生が使えるようになるのは極めて朗報だと思う」という発言をしていますが、開発元の富士フイルム富山化学からは、2016-2019の4年間で2,116万1875円の謝金を受け取っています。

 また、国際医療福祉大学の松本哲哉教授は、2021年8月12日放送の報道1930(TBS系列)という番組で「イベルメクチンはまだ国内で正式に承認は得られていない。治療薬としての扱いでコロナの感染症に使うことはできないが、イベルメクチンを使ってはいけないということではない」という発言をしていますが、発売元のMSDからは923万5922円の謝金(2016-2019年)を受け取っています。

 もちろん、発言自体が問題というわけではありません。しかし、その発言が、製薬会社との金銭的関係に影響を受けている可能性は否定できないため、実際にYen For Docs Databaseにおいて検索してもらうことには、大きな意味があったと言えるでしょう。

 以上のように、私たちが日常で目にする専門家や医師の背景や製薬企業との金銭的な関係を理解することで、その発言について、より客観的に受け止めることができると筆者は考えています。

健康情報を受け取る時にふと感じる、「この人が伝えている情報の背後には何があるのか?」という疑問。

そんな疑問に対する1つの答えを、「Yen for Docs Database」は提供してくれます。
(文=金田侑大)

金田侑大(かねだゆうだい)
北海道大学医学部医学科5年。今月は帯広の病院で小児科を実習させていただいております。名物の豚丼はおなかには貯まりますが、引き換えに財布がガリガリになってしまうので、大人しくすき屋に通うエブリデイです。

※医療バナンス学会発行「MRIC」2023年10月24日より転載(http://medg.jp/mt/)

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