第7波は人災!? すぐやるべき改善策を現場医師が提言

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重症化を防ぐパキロビッドが効率よく使われていない

(5)内服の抗ウイルス薬をもっと処方しやすくして下さい。
現在外来で、重症化リスクを持つ軽症のオミクロン患者に投与できる有効な点滴薬はありませんが、内服薬が2つあります。9割近く有効なパキロビッドと3割程度入院を防ぐラゲブリオです。

このうち最もよく効くパキロビッドが、諸外国に比べ、とてつもなく手続きが煩雑で、処方まで手間も時間も(医師の責任も重く)かかるのです。まず事前に、ネットでパキロビッドについて学習し登録センターに登録します。適応患者が出た時に、外来で5枚の投与前チェックシートを埋め、さらに患者の同意を得てから同意書を代筆し、それらをネットで入力するとIDが発行され、それからようやくパキロビッドの在庫を持つ薬局へ処方箋を送ってやり取りするのです。

この薬は併用禁忌が多いので、処方しようとする医師は、その患者が受診している全ての医療機関から出されている薬を確認する必要があります。これを医師が行ってから薬剤師が再び確認するわけです。なぜ最初に薬剤師がチェックしないのでしょう。薬の併用禁忌のチェックこそ薬剤師の出番でしょう。医師の仕事のタスクシフトをあれほど推進している厚労省は、なぜ、ここで積極的に薬剤師の力を借りないのでしょうか?

その結果、処方しやすいラゲブリオ使用実績が232,159人(7/15までに)に対し、極めて有効なパキロビッド使用実績は13,633人(7/15までに)とパキロビッドが圧倒的に使われていないのです。これはとりもなおさず、外来で軽症なうちに重症化の芽を摘んでしまうことに失敗していることを意味します。
(https://www.mhlw.go.jp/content/000968302.pdf 経口抗ウイルス薬「ラゲブリオ」の都道府県毎の使用状況について①)
適応患者が出たら、まず薬剤師がその人の内服薬をチェックする。飲み合わせをみて処方可なら医師にフィードバックしてパキロビッド処方、ダメならラゲブリオ、という流れに変えてくれれば、パキロビッドの処方は急増するでしょう。結果として、重症化する患者の数も減ります。これはとても大事な点です。

(6)ワクチンの接種体制をインフルエンザと同様なやり方にして下さい。
コロナのワクチン接種は現在行政が関与しており、自治体毎に予約システムがあり、自転車操業的に始まり、修正する時間も予算も能力もなく効率の悪いまま運用されているところが多々あります。当院のあるつくば市では、市からの予約システムを通した予約とクリニックの予約システムを通じた予約で、事務作業が増え電話が鳴り止まない状況になっています。そしてワクチンは市を通じて供給されるので、そのやり取りに取られる手間(今のようにワクチン不足になってくると、いつまでに何人予約が入っているか数えて、まめに市とやり取りするようになります)もかかります。

インフルエンザと同じように、卸を通じたワクチンの供給にして下さい。その方が医療機関は圧倒的に楽になるでしょう。また、コロナのワクチンは接種後の待機時間が15分あり、インフルエンザより手間がかかるのにインフルエンザワクチンより接種費用が安いのです。週100回以上、150回以上接種すれば加算をつけるというやり方ではなく、せめて、現在1回約2000円の接種費用を3000円にしてくれれば、多くの医療機関が接種に参加しやすくなります。

ほとんど機能していないデータシステム

(7)データや情報を医療現場で共有させて下さい。
コロナ関連の情報システムは、互換性がないまま複数乱立し、私たちはその全ての入力を求められてきました。(ex. HER-SYS/G-MIS/V-SYS/VRS/NESID等)ところが、HER-SYSは自分が入力した分しか確認できず、接触確認アプリのCOCOAも大事な時に機能せず、現場へのフィードバックが全くと言っていいほどありません。データを集めているはずの国からの論文も、専門家からの論文もほとんど出ていないでしょう。他国と圧倒的な差がついています。今目の前にいる患者のためにデータが生かせないなら、一体私たちは何のためにこれだけ苦労して入力しているのでしょうか? 

罹患した人の隔離期間も日本はまだ10日ですが、他国と比べて長いのです。人手不足を受けて濃厚接触者の隔離期間がいきなり短くなりましたが、まずデータを示して欲しいのです。第6波も7波も国の判断が遅れたために、コロナの流行とワクチン接種業務が重なり、現場には大変な負担となっています。それでも国民のためにと、医療現場が頑張ってなんとかすると、国はまた検証もせずに繰り返すのです。曖昧な政治的判断ではなく、データに基づく科学的な判断をさせて下さい。

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