東京のコロナ感染者数報告における異常な状況、意味不明のシステムで感染者数は全くあてにならない

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このところの保健所の対応が相当ひどく、行政検査が激減している現状

1)同居の家族の濃厚接触者ですら全員検査してもらえていない
 濃厚接触者の認定基準がおかしいことはすでに周知のことだが、同居の家族の濃厚接触者ですら全員検査してもらえていない状況にある。以下に例を示して説明する。

 先日、ご主人が当院のPCR検査でコロナ(+)、家族(奥様と娘さん)は当然PCR検査済と思ったら「検査しなくてよい」と保健所に言われたとのこと。自宅療養の14日目に奥様が発熱して当院でPCR検査を実施したらコロナ(+)と判明。この結果を保健所に届けたら新たな感染の可能性が否定できないのでさらに10日間自宅療養を言い渡された。娘さんは小学校の新1年生なのにお父さんの影響で新学期初日から14日間1回も登校できず、さらに14日目にお母さんが陽性となったためにさらに14日間自宅療養追加された。

 お母さんは14日間ずっと自宅療養を守ってきたとのことで、お父さんからの感染は確実。保健所長に直談判して新たな自粛はおかしいと交渉したが受け入れられなかった。もっと早い時期に家族のPCR検査をしていればこんなに長い自宅療養を強制されなかったはず。これは明らかに同居の家族のPCR検査を省いた保健所の判断ミスで、最初の対応が緩かったのに最後の対応だけがやたら厳しいのはバランスがおかしい、保健所の対応不備なのだから保健所長の判断で情状酌量すべきと進言したが受け入れず、全く呆れるような結果となった。かわいそうなことに新入学の1年生は1か月もの間学校に行けなかったことは全くひどい話、保健所の人災だ。

2)同居の家族への説明や対応指示がなされていない
 別なケースだが娘さんが当院PCR検査でコロナ(+)。同居の80歳代と高齢の両親はこのケースではPCR検査を受けて(-)だった。そこまではよかったのだが、濃厚接触者は検査結果が(-)であっても14日間自宅療養となることは何も聞いていないとのこと。コロナ(-)の結果だったのだからコロナではないと思い込んで自粛をしていなかったことが当院を訪れて発覚。このケースでは説明不足以外にも問題あり。

コロナは接触日(ウイルスに暴露)から発症するまで平均6日なので濃厚接触者が無症状の場合はあまり検査が早すぎると偽陰性になってしまうが、保健所の職員はこのことを全く考慮に入れていない。せめて3-4日間を開けてから検査すべきところだ。また、高齢の濃厚接触者が症状が出て来たら繰り返しPCR検査を指示しなければいけない。そのことが全く抜けていてあまりにもお粗末な対応だった。これが今の保健所の実態と思われる。

 個々の保健所の職員は必至に頑張っているのはわかるのだが、残念ながら保健所に感染者の対応を任せていてもほとんど機能しておらず、医療機関が対応するようにシステム自体を変えるべきだ。MRIC記事ほかでも何度もそのことを指摘してきたが、NHKをはじめ民放の多くも根本に存在するこのような問題点までは理解できないようだ。これまで筆者も多くのメディアの取材に協力してきたが、2時間も話をしても放映されるのは1分だけ、それも報道が使いたい部分だけ切り取って放映されるので、重要な主張は伝わらない。

 感染者数に話を戻すと、以前に比べて行政検査のPCR検査が激減しているのは明らかである。とにかく保健所のキャパシティー自体はだいぶ余裕が出てきていると知り合いの保健所長から伺ったが、すべてとは言えないがそれに胡坐をかいて改善努力をしていない保健所があることは残念だ。最近の政府のコロナ対応はあきれるばかりで、その暴走を止められないことが大きな問題だ。どうしたらこの暴走を止められるか。やはり与党自民党内の有識者がもっと声を上げるべきだし、コロナ分科会は総入れ替えして組みなおし、統計の専門家、危機管理の専門家を入れるべきではないか。
(文=和田眞紀夫)

和田眞紀夫(わだ・まきお)
わだ内科クリニック院長
※医療バナンス学会発行「MRIC」2021年5月11日より転載(http://medg.jp/mt/)


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