COVID-19との戦い方はミッドウェー攻略作戦失敗との類似性がある!

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「方針無き戦い」はまた繰り返されている!?

 第三次世界大戦ともいわれるCOVID-19との戦いだ。戦い方については、太平洋戦争の大きな分岐点となったミッドウェー攻略作戦、その失敗から学ぶものもあるだろう。

 次のような記載がある。
「ミッドウェー攻略作戦の失敗には、情報、暗号解読の重要性を認識できなかったこと、目的があいまいであったこと、さらに索敵の失敗(重要視せず、発進遅延、見落とし、索敵コースのはずれ、発見位置の誤認、報告の不手際)、航空作戦指導、艦隊編成などさまざまな原因があげられている。(中略)
過去の失敗をないがしろにし、戦訓としてただちに次の作戦に生かすことをしなかった日本軍の硬直性は、早くもこのミッドウェー海戦にあらわれていたのだ。」(池田清編・太平洋戦争研究会著『太平洋戦争全史』、河出文庫、2006, p.121-2)。

 感染の起きる環境情報(接触者「80%削減」)の重要性を認識できず、目的(医療崩壊の回避か経済損失最小化か)があいまいであり、感染源の抽出、すなわち索敵(PCR検査)に失敗すれば、COVID-19との戦いに負けるだろう。

 現在の作戦に敗戦原因が無いのか、もしあるとすれば、変更できる作戦は直ちに変更するという政府の柔軟性が必要だ。そうしなければ、特措法の目的「国民の生命及び健康、国民生活及び国民経済」を守ることができず、甚大な被害を受けることになるだろう。

情報(接触者「80%削減」)の重要性を認識しているか

医療を必要とする患者数が医療提供側(人、物、場所)の受け入れ能力を超えると、必要な医療を受けられない患者が出現する、それが医療崩壊だ。

 COVID-19との戦いで最も重要な呼吸管理(人、物、場所)の受け入れ能力は、簡単に増やすことができない。それを超えるほどに(over)、重症患者数の急増(shoot)がオーバーシュートだ。呼吸管理を受けられない重症患者の死亡率は極めて大きくなる。ニューヨークその他で起きている状況だ。

 厚労省・クラスター対策班の西浦・北大教授は、4月15日の記者会見で、対策を行わなければ死者40万人超になるだろうと警告した。国民に行動様式を変えるための意識変革を促したのだろう。一方、数理モデルのグラフを示しながら、接触者「80%削減」をもたらす対策を取れば、感染拡大はほぼ1カ月で収束するだろうと報告した。接触者「80%削減」の状態とは、集団免疫80%を得た社会と同等と考えられ、納得できる数理モデルである。

 西浦教授の示したグラフで医療崩壊回避にとって重要なのがArea under curve (AUC:グラフの曲線と基線との間の面積) だろう。日ごとのAUCは日ごとに確定される感染者数を表し、それは重症患者数と比例するからだ。例えば、東京都における重症患者の発生数が推定でき、この推定値と東京都の呼吸管理(人、物、場所)の受け入れ能力とを比べれば、医療崩壊回避の対策を立てることができる。

 1カ月で収束に向かう接触者「80%削減」の場合に比べ、「70%削減」では、収束までに2カ月かかり、そのAUCは2倍以上にも見えた。私の印象が正しければ、接触者削減が10%違っても、重症患者数は2倍以上違うことになる。医療崩壊回避にとって非常に重要な情報と言える。

 政府の発表した、『新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針』(3月28日付)には、「30日間に急速に収束に向かわせることに成功できたとすれば、数理モデルに基けば、80%の接触が回避できたと判断される。」との記載がある。西浦教授の数理モデルの説明だろう。

 ところが、4月7日の安倍首相の記者会見では、「最低70%、極力80%」の接触者削減を国民に要請したのだ。4月17日の記者会見でも繰り返している。

 これに対して危機感を持ったのが、医療前線の状況を知る尾崎治夫・東京医師会会長である。テレビ番組の中で次のような要旨を述べた。安倍首相の「最低70%」要請発言は、経済への影響を懸念してのことだろうが、それでは医療崩壊を来す。専門家の多くは「80%削減」を必須としている、と。

 医療現場、厚労省・クラスター対策班、そして官邸(首相)との間の意思疎通(情報伝達)が悪いのか、あるいは医療崩壊に対する危機感に温度差があるのか、いずれにしろ、安倍首相のこの情報の重要性についての認識を、私も強く危惧している一人だ。

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