画像は『アライブ』(フジテレビ系)の公式HPより
ついに『病室で念仏を唱えないでください』などというタイトルまで出そろった今年の春の医療ドラマは百花繚乱。
粒ぞろい、選り取り見取り!? どれも興味深く、見ごたえがあるものばかり。さてどれを見るべきか。
腫瘍内科がチーム医療の中で奮闘する『アライブ』
がん治療に踏み込んだ『アライブ、がん専門医のカルテ』(毎週木曜よる 10 時)は繊細かつディープな内容になっていました。がん専門医=oncologist 、恩田心(松下奈緒)…オンコロ…と工夫がちりばめられていましたね。第 1 話を見たときから、心の中でいろいろな想いが巡りましたが、第2話を見たときにはフラッシュバックする想いが多すぎて、涙、涙でした。
『アライブ』は腫瘍内科医と外科医の立場や視点の違いをうまく表現しながら、医療従事者がチームで最善の医療を提供していく、という王道の物語と同時に、その治療に関わるすべての人々の裏側が、テンポよく描かれていました。
第2話の最後にオンコロ先生が患者さんの強さにハッとさせられる、と語り、研修医・結城涼(清原翔)はがん患者・莉子にふと心を許し自分のことをポツリと語ってしまう。
乳がん末期でありながら、最期まで明るく人の役に立ちたいと願うノリコ、そして、本当に難しい問題のひとつである、遺伝性乳がんについても描かれていました。臨床に携わる私の毎日でも、こうした場面場面の全てが現実的であり、本当に難しいと感じることが沢山盛り込まれていました。
抗がん剤を外来治療として行っている下りでも、副作用を軽減するための工夫が沢山盛り込まれていました。乳がん治療後は、多くの患者さんで手足のしびれが残存している印象があります。嘔気などは有名な副作用ですが、食べ物の味がしない、口内炎、免疫が落ちたために口腔内にカビが生えたなんていうことまで、いろいろと特徴的な副作用が認められます。
ドラマの中では、そんな副作用を減らすために、薬が口腔内や手足に行かないようにと血管を収縮させるために、氷をほお張ったり、手足を冷やしたりしていました。リアルな感じが、数人の医師が監修に関わっているのだなあ…と感じさせました。そして、なんとなく、医療側の気持ちもよく描いてくれているような雰囲気も……。
そして、役者も魅力的な方ばかりです。梶山薫役の木村佳乃の演技が光っていて、見ていて気持ちが良い。オンコロ先生と梶山先生の友情はどうなっていくのかも見ものです。おそらくオンコロ先生は梶山先生の行為を医療ミスとは取らないでしょう。私の想像ですが…。