日本初の『胃弱外来』開設」後編:巣鴨駅前胃腸内科クリニック・神谷雄介院長

胃の不快感の多くは実は「機能性ディスペプシア」という病気

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胃内フローラの研究も始まっている

 巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、丁寧な問診と生活指導、西洋薬と漢方薬を組み合わせた投薬でFDに悩む多くの患者を救っている。

「GERDが男性に多いのに比べて、FDは比較的、女性の患者さんが多い。当クリニックだと男女比は、4対6ぐらいです。20~40代の女性は、月経前症候群によるホルモン異常やライフスタイルの変化がトリガーになっているケースが多くみられます。たとえば、人間関係で非常にイライラすることがあり、それがFDのトリガーのひとつであれば、イライラを緩和する漢方薬を処方することもあります」

 胃内は、強い酸性の胃酸が分泌されていることから、長い間、無菌だと考えられてきたが、ピロリ菌の発見で定説はくつがえされ、胃内の細菌の様相(フローラ)研究も始まっている。

 すでに胃につながる腸管内については、多種多様な細菌が絶えず増殖しており、細菌叢(フローラ)の構成バランスが免疫系の活性化などをもたらすことが解明されつつある。ヒトに有用な働きをする菌を優勢に、有害な働きをする菌を劣勢にすることで健康が維持できるのだ。有用な菌はプロバイオティクスと呼ばれ、ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌はよく知られており、毎日の食事に取り入れている人も多い。

「胃内フローラの研究は、まだ始まったばかりです。腸内細菌についていえば、FDの原因のひとつとして、胆汁や腸内細菌を含んだ小腸の内容物が十二指腸を経由して胃に逆流することで、胃・十二指腸の粘膜を傷つける可能性が指摘されています。また乳酸菌は、胃粘膜の保護や再生に効果があり、胃もたれや、腹部膨満感の改善に効果があるという報告もありますので、難渋されている患者さんには、1日2回ヨーグルを食べてみてくださいと指導することもあります」

 医学の進歩によって、胃がん・胃十二指腸潰瘍が克服されつつある今、機能性の不調への関心が高まっている。従来は、気のせいと片付けられていた胃の不調も、FDと病名がついたことで医学的研究がうながされ、治療も進んでいくだろう。「胃弱」に悩む人には朗報である。(取材/文=増澤曜子)

胃の不快感の多くは実は「機能性ディスペプシア」という病気 の画像2

神谷雄介(かみや・ゆうすけ)
巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長。 国立佐賀大学医学部卒業後、板橋中央総合病院にて、内視鏡の基礎を学ぶ。 その後、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事し、2016年4月巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。 内視鏡検査だけでなく、胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。


胃の不快感の多くは実は「機能性ディスペプシア」という病気
日本初の『胃弱外来』開設」後編:巣鴨駅前胃腸内科クリニック・神谷雄介院長

前編『大病院を転々した末にたどり着く「胃弱外来」 初診から約1カ月で8割の患者の症状が改善』

胃痛やもたれ、むかつきなどの症状があっても、検査の結果異常がないと診断され悩みを抱える患者さんが少なくない。こうした胃の悩みを抱える人たちのために開設したのが胃弱外来。患者さんの多くは新しく認知された『機能性ディスペプシア』や『胃食道逆流炎症』などの疾患だ。その具体的な治療法について話を伺った。

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