なぜインフルエンザは冬にだけ流行するの?
インフルエンザウイルスは1年中、地球のあらゆる場所で空気中に浮遊している。事実、日本でも春や夏に流行したことがある。しかし、冬だけに“暴走”するかのようなイメージが定着しており、毎年10月頃からワクチンの予防接種が推奨されている。一体なぜ、「インフルエンザといえば冬」なのか?
その原因は、冬の空気にある。空気が乾燥する冬季は、インフルエンザウイルス中の水分が蒸発し比重が軽くなり、空気中にウイルスが浮遊するからだ。
冬の気温と湿度はウイルス増殖に最適
温度20℃内外、湿度20%内外の低温度・低湿度は、インフルエンザウイルスが空気中に長時間にわたって生息できる最適な環境だ。
インフルエンザウイルスは温度21~24℃、湿度20%の空間なら生存率は60%、温度7~8℃、湿度22~25%なら生存率は63%とされる。
空気中に浮遊するウイルスが呼吸と共に口腔や鼻腔の粘膜などに付着する。冬季以外は、大気や皮膚表面の湿度も保たれているため、粘膜に付着しても体内には侵入しないが、冬期は、口腔や鼻腔の粘膜の湿気が下がって損傷しやすくなるため、粘膜の亀裂からウイルスが体内に侵入し、感染しやすくなく。
特に湿度が40%以下の乾燥した部屋ではウイルスは30分間も漂い続ける。感染している人がくしゃみや咳をすると、1回のくしゃみで口から出るウイルスは約100万個、咳で飛び出すウイルスは約10万個とされている。
また、乾燥した外気によって咳やくしゃみの飛沫が小さくなり、飛沫に乗ったウイルスは、より遠くまで飛ぶため、くしゃみや咳による感染範囲が広がり、幼稚園・学校、混み合う電車やバスの中や街中など、人が多い場所ほど感染しやすくなる。