「マッサージチェアのパイオニア『フジ医療器』の開発秘話」前編

世界初「マッサージチェア」の量産化に成功した「フジ医療器」の開発秘話に迫る!

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「銭湯でもっとくつろいでもらう方法はないか?」

 営業のために銭湯に足繁く通っていた藤本氏は、銭湯のサービスを観察しながら、「銭湯でもっとくつろいでもらう方法はないか?」と考えるようになった。これがマッサージチェアに着眼したきっかけとなった。その後、第1号機を完成させ、自ら作り上げたマッサージチェアをリアカーに乗せ銭湯の煙突を目印に大阪中に営業して回った。

 第1号機はハンドルを回すと、揉み玉が上下して動く「揉み」の機能だけを搭載したシンプルなものだったという。その後、「叩き」に特化したチェアも開発。改良を重ねに重ね、1970年代に「揉み」と「叩き」を一台でこなせるマッサージチェアを遂に完成させた。

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フラグシップモデル「Cyber-Relax」

 これがターニングポイントになり、さらに製品開発を押し進める。業務用から家庭用マッサージチェアが普及し始める1970年代には、シェアをさらに伸ばして拡充期を迎え、業界内でのポジションを確固たるものにしていく。

 1990年代に入ると、さらにターニングポイントとなる商品を開発。業界初のエアーバッグのみを使ったマッサージチェア「エアーチェア」が脚光を浴びる。「揉む」「叩く」ではなく、全身を空気圧を使ったエアーバッグでマッサージし、これにより下半身(もも・脚)へのマッサージも可能にした。

 2000年代にはデジタル化の波が進んだが、フラグシップモデル「Cyber-Relax」を販売。人気商品を次々に発表し、2007年にはマッサージチェア市場で初のシェアNO.1の座にのぼりつめた。

マッサージチェアの今後の展望

 「揉む」「叩く」ではじまったマッサージチェアの進化はすさまじく、現在はストレッチ機能も搭載。マッサージできる部位も増え、首から足裏まで様々なマッサージを行うことができるようになっている。

 用途も業務用から家庭用にシフトし、1:9の割合で家庭用のマッサージチェアのシェアが高くなっている。家庭用の購買層は50代以上が多く、比率的には60代の所有者が圧倒的な割合を占めるという。健康への意識が最も高い世代層にマッサージチェアは愛用されているのだ。

 では、マッサージチェアには、具体的にどのような健康効果があるのだろう?

 医療機器認定で認めれている商品に関しては「疲労回復」「血行促進」などの効能効果を明記することが可能だが、薬機法ほか法律による規制の厳しさもあり「公にこれ以上の効果に言及することはできない」のだという。

 「ストレスに効果があると言いたくても、言えない。むくみを改善もダメ。疲れを取るものとしか言えない現状があるんです」と大出氏はこの問題についてため息をもらす。

 「規則があるからこそ、変なマッサージチェアが出てこないというのももちろんあるんですけど……」と前置きしつつ、医療機器としてマッサージチェアをより進化させていく過程で、法律のハードルがあまりに高く、「疲労回復」「血行促進」などの効能効果以外の表現を明記したくてもできない現状を嘆く。

 「テクノロジーの進化もあり、マッサージチェアに座るだけで様々な生体情報が取れるようになった時代。健康管理の一台として、マッサージチェアが今以上に活用されるようになればいいなと思っています」と今後の展望についても語ってくれた。

 次回は、最新のマッサージチェアを生み出す中での様々な工夫についてご紹介する。
(取材・文:名鹿祥史)

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