霜降り加工肉に使われる添加物の安全性は?
サイコロステーキですっかり有名になったのが、インジェクソン加工肉(霜降り加工肉)である。米国産などの安い輸入牛肉に、何百本もの注射針がついた機械で、牛脂、添加物など注入、混ぜ合わせ、冷凍して固める。そうすると、輸入牛肉の赤身肉が、いかにも国産の高級霜降り牛肉らしくなるのだ。多くはサイコロステーキとして販売されるが、焼き肉用のカルビにも利用されている。
このインジェクションには、リン酸塩とトレハロースが不可欠。トレハロースは、でん粉の老化防止や冷凍時のたんぱく質変性防止のための添加物だ。細菌や酵母からエタノールで抽出して得られる糖類で、甘味料もかねるという万能添加物である。
安全性に関しては、今までのところ毒性の研究報告は発表されていないので、問題はないとされている。しかし、リン酸塩は2018年末までにEUが安全性の再評価を行うと表明している添加物で、安全性には大きな不安がある。
インジェクションを含めた成型肉の安全性に関しては、もうひとつ大きな問題がる。病原性大腸菌0-157による食中毒である。成型肉は不特定多数の牛のくず肉、牛脂が使われている。それだけ感染源が多くなる。0-157対策は、肉の中まで十分に火を通すことに尽きる。
しかし焼き肉店などでは、成型肉の表示はされていない。そのため、つい生焼きで食べてしまいがちである。スーパーなどでの販売では、「成型肉」の表示と「中まで火を通して下さい」との注意表示が義務付けられているものの、焼き肉店など外食分野でも早急にメニューに成型肉表示と注意表示を義務付けるべきだろう。
(文=郡司和夫)