桂歌丸さん「タバコ病」と呼ばれるCOPDで死去~さまざまな業界に広がる禁煙化

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串カツ田中・サイゼリア・ココス・モスバーガー……次々と広がる禁煙化

 たとえば、現代のドラマでは引っ越しトラックのなかで、タバコを燻らせている登場人物の設定などは皆無だろう。

 現実のレンタカー業界でも、タイムズカーレンタル社が全国展開する「タイムズモビリティネットワークス」が今秋10月から、(これまでの乗用車の9割を禁煙方針から)軽トラックも含む約3万台のレンタカー総てを禁煙車に踏み切る。

 なにかと注目の飲食業界はどうか? 「串カツ田中」が6月1日からほぼ全店舗の全面禁煙化を実施。近未来の全面禁煙化を目指す例では、ファミレス「ココス」が来年9月末、ハンバーガーチェーン「モスバーガー」が20年3月までの目標を表明。

 6月21日から段階的な全面禁煙化(全国のショッピングセンター内275店舗や京都府内の21席を全席禁煙に)を始めるのが、イタリアンレストランを運営する「サイゼリア」だ。同社は今後も、残り777店舗の全面禁煙化を来年9月までに広げる計画だ。

唖然! 自民党議員が参考人のがん患者に恫喝的なヤジ

 これらチェーン店の取り組み事例を聞くと、つい連鎖的に思い出すのが、いまだに腹立たしくも記憶に新しい衆議院議員・穴見陽一氏のがん患者にへの恫喝的なヤジである。

 ファミレス・チェーン「ジョイフル」の御曹司でもあられる、この議員センセがあろうことか、「衆議院厚生労働委員会」に参考人として招かれ、喫煙・受動喫煙の害を述べていたがん患者に、「いい加減にしろ!」と言い放ったのだ。

 自民党議員である愛煙家・穴見議員によれば、発言の意図は「喫煙者を必要以上に差別すべきではないという想いで呟いたもの」。真に悪いのは参考人で、参考人が愛煙家を差別する差別主義者である――という唖然とする理屈だ。

 こういう時代錯誤、認識不足な議員が、本当に「受動喫煙のない社会」をつくれるのだろうか? それこそ、勘違い議員が霧散でもしない限り、2008年・北京五輪から実現されてきた「スモークフリー五輪」は、2020年・東京大会を機に途切れかねない。

 百歩譲って、穴見議員が確固たる信念をもつならば、「いい加減にしろ」発言の趣旨を貫き、それを世に問えばいい。ところが、批判が殺到すると、失言政治家にお決まりの「不快な思いを与えたとすれば」と、あっさりと白旗を掲げた。

 何の信念も感じられない穴見議員の無反省ぶりは、ひょっとして、委員会中に「ヤニ切れ」でも起こして錯乱したか……と疑いたくなるほど底が浅い。

 しかも、穴見議員は「公益法人大分がん研究振興財団」の理事を2007年の発足当初から務めていた立場にあった。騒動の翌日、問題の責任を取る形で同財団の理事を辞任。このようなお粗末議員はレアケースだと思いたいが、この国の受動喫煙対策の行方が不安になる。

 「タバコ病」を招いた生活習慣を悔いた歌丸さんは、平成の閉幕を前に逝去されたが、次の元号期が「紙タバコの減衰/加熱式タバコの隆盛」という市場盛衰史を刻むのは必至だ。

 次世代の加熱式愛好家である落語家が、その吸引歴から病に倒れたら、その時の通称はいったい「ナニナニ病」と呼ばれるのやら。昭和の灯がまた一つ消えて星となられ、どうやらおあとがよろしいようで。
(文=編集部)

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