インタビュー「訪問看護ステーション」前編:Recovery International株式会社代表・大河原峻さん

自由な発想で事業を拡大!看護師が起業した「訪問看護ステーション」の成長の秘訣

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看護師の働く環境を改善したい

 起業を決意した頃、「利用者にいいサービスをしよう」と思う一方で、自身の体験を元に「僕のように看護師として頑張った人がもっと認められるような会社を作りたいと労働環境の改善にも力を入れた」と大河原氏。それと同時に、既存の訪問看護ステーションの問題にも、メスを入れようと考える。

 「訪問看護の仕事は看護をすることと、リハビリテーションをすることに分かれていて、『訪問看護リハビリステーション』という形態が非常に多いんです。リハビリをメインにするところもあれば、看護を中心とするところもあって、こういう体質が最期を家で迎えたいと思う利用者様にとって願いを叶えにくい状況となることもあります」。

 そのような状況はどうやって生まれたのか?

 「本来、看護をして、患者さんをご自宅で最後まで看取ると思って作ったステーションが、いつの間にか看護ではなくリハビリがメインになってしまう。極端に言えば『リハビリ100人、看護10人』みたいな体制での運営のステーションで、患者さんの急変に対応できず、結局最期を病院で過ごす、というケースも聞かれます」

 そのため大河原氏は「看護とリハビリをバランスよくやり、かつ、利用患者さんのケアと環境も大事にしたいので、マッサージや居宅を入れるという形態でやっていこうと考えたんです」と話す。

 だが、訪問看護ステーションをやるにあたって、何より大変なのは人材の確保。大河原氏は看護師の働く環境をより良くし、効率の良い訪問が行えるよう、業務をIT化していくことにも力を注いだ。

 「スマホを渡したりして情報システムを使っていくことによって、蓄積された情報を確認してから訪問することができる。IT環境を整えることで、看護師さんたちの仕事のしやすい環境を作り、長く続けたいと思える状況になっていけばいいなと思ったんです」

平均年齢約33歳。自身と同世代のスタッフが集まる

 大河原氏は、自身と同じような経験をし、業界をより良く変えていきたいと意気込むスタッフを、経験年数にかかわらず、採用するようにした。

 「面接の時に、例えば、LINEやFacebookなどのSNSの利用状況についてお尋ねするケースもあります。そこに対する知識や経験があると、IT環境にいち早く慣れてもらいやすいというのがあったのです」と大河原氏。

 現場主義で、大河原氏自身が経営者として携わるのではなく、同じ看護師として現場を回る背景にも、看護師たちが長く働ける環境づくりをしようという理由があった。

 「今も看護師として自分も現場を回っているんですが、働く看護師さんたちに『一緒に見てくれる、一緒に回ってくれる』という安心感とモチベーションに繋がればいいなと思っています。

現場のことがきちんとわかっている経営者でなければ結束力はつかないし、看護師さんもついてこない。拠点に出張する時は看護師と一緒に同行したりもします。一緒に回って、『こういうふうにしようねっ』とアドバイスをしたりすることで、スタッフとの信頼関係も強くなっていくんです」

 大河原氏は「地元に帰ってステーションを開きたい」など、看護師らの思いに寄り添って事業を進めることで、従来の訪問看護ステーションのやり方をどんどんと変えていった。

 次回は離島で働きたい看護師の登場から始まったという、離島での在宅医療進出なども詳しく説明する。
(取材・文:名鹿祥史)


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大河原峻(おおかわら・しゅん)
Recovery International株式会社 代表取締役社長。1983年、静岡県生まれ。これまで手術室、救急病棟、ICU、病棟の看護師、海外の医療ボランティアなどを経験。海外滞在時、現地の友人を通じ訪問看護に触れ、帰国し、2013年、同社を設立。

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