本能で楽しむ医療ドラマ主義宣言! 第11回

ドラマ『がん消滅の罠』女医が見た診断書の怖さとドラッグラグのトラウマ

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がんに関するマイブームはテロメア

 今回の、夏目先生は、真面目で熱心なキャラクターをあちこちで利用されてしまいました。最後はあっさりその容疑が晴れて、あれ?っという感じでしたが…。いつも怪しい役をやる渡部篤郎はいつになったら、豹変するのかな~なんて思いながら見ていましたが、最後までよい人でした(笑)。

 そして西城先生……。本当にこういう雰囲気の教授いらっしゃいます。権力を得ることで裸の王様のようになっていってしまう方もいます。いつの時代になっても「白い巨塔」のような大学病院の陰謀的ドラマが絶えないところを見ると、そんな医師が少なくないのでしょうか? 

 医局の人事を支配する教授に気に入られているか否かで自分の行く末が変わることがよくありますが、人の命までも左右しようとした西城先生。こんな勘違い医師がこの世にいないことを祈るばかりです。

 そして、人を脅迫までできてしまうがん。今の時代はがんの研究が進み、決して不治の病ではなくお付き合いをしながら共存していく時代、それこそ完全緩解のありうる時代になってきました。

 がんといえば最近の私のトピックはテロメアです。(もう古い?)

 動物の体を構成している各細胞は、限られた回数しか分裂・増殖することができないと言われており、ある細胞の分裂の限界を分裂の寿命といい、この法則を発見したアメリカの科学者の名前にちなみ、「ヘイフリックの限界」とも呼ばれています。

 細胞が構成する組織や、生物の種類によって「ヘイフリックの限界」は異なっていて、例えば、ヒトの胎児から採取した細胞の限界は、およそ50回で限界まで分裂した細胞を「老化細胞」と呼ばれています。

 しかし、ヒトの体の中には、無限に増殖する細胞が存在していることがありそれが、がん細胞です。

 そして近年、「ヘイフリックの限界」を決める要因として、染色体の末端にある「テロメア」と呼ばれる構造が注目されています。「テロメア」は、染色体の末端を保護する役割を持つと考えられていて、細胞が分裂するたびに、その長さが短くなっていくのですが、「テロメア」がある程度短くなるところまで細胞分裂が行われると、細胞の老化が始まることが明らかになってきたのです。

 がん細胞では多くの場合、「テロメア」の末端を伸長させる「テロメラーゼ」という酵素の活性の亢進が確認されているのです。がん発生のメカニズムがここまでわかってきているということは、治療法も日進月歩ということです。

抗がん剤や免疫まで日進月歩のがん医療

 今回のドラマのように、新薬の承認が、日本はとにかく厳しいことは末端の医師の私ですら知っています。いわゆる「ドラッグラグ」で、海外では当たり前のように使用されている薬が日本で汎用できるようになるには数年おくれ、というのが現状です。

 米国か欧米で承認され、日本未承認であるがん領域の医薬品数だけでも66ありますね(国立がん研究センター:<国内で薬事法上未承認・適応外である医薬品について>2017年12月25日時点での情報に基づく~のべ数)、他の疾患治療薬を含めるといまだドラックラグは大きな課題です。

 海外の薬が日本に入ってくるのが遅いのか、日本に入ってから発売までが遅いのかの二つの問題点があり、それを解決すべく医療品医療機器総合機構(PMDA)が動いています。

 ちょっとがん治療とは雰囲気が違いますが、男性薄毛治療薬が日本に入ってくるまでは、海外から個人輸入していた、といったのも同様でしょうか? これが命にかかわるとなれば、何とかして入手したくなりますよね。

 日本のトップの方々、自らががんを発症し、わらをもすがる思いをしないと承認されない……と考えてしまった西城先生の気持ちは理解できなくもないかも?(でも脅しは駄目ね)

 ところで、免疫抑制下状態の人に他人のがん細胞を移植したところで生着するのでしょうか? 基本的には他人のがんが体内に入っても免疫で死滅するのですが、増殖能の強い悪性黒色腫などは転移したという報告もあり、まだまだ解明されていない部分もありますね。がん細胞自爆装置? という設定などもありました。夢のようで、私の頭ではついて行かれないことがたくさんありました。

 それにしても入院の病室にろうそくは炊きますかね~?あれは怪しさ満点の演出でしょうか!?


『アンナチュラル』女医が見た法医学者ミコトの矜持 文書改ざんを拒み真実を追究!の画像2

井上留美子(いのうえ・るみこ)
松浦整形外科院長
東京生まれの東京育ち。医科大学卒業・研修後、整形外科学教室入局。長男出産をきっかけに父のクリニックの院長となる。自他共に認める医療ドラマフリーク。日本整形外科学会整形外科認定医、リハビリ認定医、リウマチ認定医、スポーツ認定医。
自分の健康法は笑うこと。現在、予防医学としてのヨガに着目し、ヨガインストラクターに整形外科理論などを教えている。シニアヨガプログラムも作成し、自身のクリニックと都内整形外科クリニックでヨガ教室を開いてい。現在は二人の子育てをしながら時間を見つけては医療ドラマウォッチャーに変身し、joynet(ジョイネット)などでも多彩なコラムを執筆する。

シリーズ「本能で楽しむ医療ドラマ主義宣言!」 バックナンバー

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前編『炭酸ケアの第一人者、褥創の治療経験から生まれた「炭酸ジェルパック」』

美容の世界でも異彩を放つっている「炭酸ジェルパック」。 皮膚科・内科の医師として長年、炭酸の医療的な研究に携わり、その研究の成果として画期的な美容素材「炭酸ジェル」を開発した日置正人医師に、その開発の過程や効果について聞いた。

Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

医療法人社団 三喜会 理事長、鶴巻温泉病院院長。…

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フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法…

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小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリ…

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