血糖値を「見える化」する「FreeStyleリブレPro」
「臭い物に蓋をする」ということわざがあるとおり、私たち人間は不都合なことを隠したり、見て見ぬ振りをしたりする生き物だ。たとえば健康診断――。数年にわたって「要観察」と結果が出ても、生活を見直さない人は多い。
「健康診断の結果に注意を払わず、以前と変わらない生活を送って、視力低下やむくみといった糖尿病の合併症が現れて初めて受診する人もいるんです。軽症なら薬を使わずに、運動や食事だけでコントロールできる可能性が高いのですが……」と駅前つのだクリニック院長(東京都杉並区)の角田圭子医師は話す。
糖尿病については、予備軍であるメタボの段階で意識を変えることが重要だと角田医師は実感している。そのためにどのようなことを取り組んでいるのか―ーを訊いた。
<血糖値のグラフ化>で変動が一目でわかる
角田医師は29年にわたって糖尿病の治療に携わってきた。一口に「糖尿病」と言っても、原因は個人によって大きく異なるのだそうだ。
角田圭子・著『メタボから糖尿病にならない方法』(WAVE出版 )
「患者さん一人ひとりで病態も体質も食習慣も違います。そして性格も違うので、合併症を詳しく説明することが生活改善につながる人もいれば、『脅すつもりなのか』と怒り始める人もいるんです」
角田医師は、患者との対話を重視しながら、食事療法や運動療法など治療の選択肢を患者に提示している。
その選択肢の1つが、血糖の推定値が持続的に記録される機器「フラッシュグルコースモニタリング」だ。
たとえば、2016年12月に発売された「FreeStyleリブレPro」(アボットジャパン株式会社)は、患者が装着することで組織間質液中のグルコース値(血糖値と同様の変動を示す。以下、血糖値とする)を15分おきに、最大14日間自動で記録できる。
直径が35mm、厚さが5mmの丸いセンサーを患者は上腕に貼り付けて、入浴や睡眠など、通常と同じ生活を送る。測定されたデータから、一日の中でいつ、どの程度血糖値が変動したかがグラフ化される。
52歳(女)の血糖値を「FreeStyleリブレPro」で<見える化>。パンとカレーライスを食べた後に血糖値が急上昇
「グラフだと、血糖値の上昇の原因が何か、一目でわかる。たとえば『お昼に肉まんを食べたから一気に血糖値が上がった』と患者さん自身がその原因を理解します。『肉まんはやめておこう』と、行動の変化が現れやすくなります」