影響が大きすぎる「早食い」の健康リスク
とはいえ、15分以内で食事を終えている現状の子どもたち。前述の春名さんのように食べる量を減らすか、早く食べるしか対応策はない。後者の場合はいくつもの健康的リスクが発生する。
消化不良
人がものを食べるとき、口の中で食べ物を噛んで細かくしている。だが、早食いは、食べ物は咀嚼が十分に行われないまま胃や腸に達する。このため消化に時間がかかり、消化器にも負担がかかる。胸ヤケや腹痛などが起こりやすくなることもある。
血糖値が上がる
一気に食べ物を体内に押し込むと、血液中のブトウ糖が急増する。血糖値を抑えるためには大量のインスリンが必要だが、急激な変化に分泌が間に合わず、高血糖状態が続く。高い血糖値は血管を痛め、インスリンを分泌するすい臓にも負担がかかる。
肥満になりやすい
2001年に発表されたライオン歯科衛生研究所の調査によれば「『早い』『噛まない』『一口の量が多い』食べ方は太る」という。同じことが2006年に実施された疫学調査でも明らかになっており、「<早食い>は肥満と密接な関連をもっている」と結論付けられている。
早食いは、よく噛まずに食べ物を飲み込みがちになる。また、満腹感を覚える前まで食べ続けしまう。
ここで問題視すべきなのは、これらのリスクが将来的に生活習慣病に繋がっていくことだ。早食いで起こるリスクが、子どもの糖尿病や肥満になる可能性は高い。
さらに、早食いは習慣化すると矯正が難しい。成長し成人した後にも、発症のリスクは継続していくことになる。将来にわたって健康を損なう食べ方を強いていると思うと、子を持つ親はぞっとすることだろう。
総務省が実施した『平成23年社会生活基本調査』によると、10歳以上の男女の1日の平均食事時間は1時間39分。1日3食と考えれば、1食当たり33分。年齢や環境など条件は違うだろうが、15分を切る食事時間は短いと言わざるを得ない。
地域によっては、すでに2学期が始まる学校もあるだろう。子どもに短時間での食事を強いる生活に戻る弊害を、あらためて大人は考えるべきだ。
(文=編集部)